気持ちと向き合う / 就労への意欲

働きたいのか、働きたくないのか、自分でもわからない——その「わからなさ」について

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:15〜20分
ゆっくり考える人のイメージ、就労・生活コラム

目次

  1. 「働きたい気持ちが分からない」状態になる理由
  2. 「意欲があってから動く」は順番が逆かもしれない
  3. 「働く理由」を探す必要はない
  4. 「今の自分」の状態を正直に話すことから始まる
  5. 「意欲が持てない」ことを責めないための視点
「働かなければいけないと分かっているけど、働きたいという気持ちが湧いてこない」「働きたいのか、働きたくないのか、自分でも全然分からない」——このような状態は、おかしいことでも弱いことでもありません。 「働きたい気持ちが持てない自分はダメだ」と追い詰めてしまう前に、まず一緒にその「わからなさ」の中身を見ていきましょう。

「働きたい気持ちが分からない」状態になる理由

働くことへの意欲が湧かない・分からないという状態には、様々な背景があります。うつ・双極性障害などで「何もしたくない」という症状が出ている場合、過去の職場でつらい経験(ハラスメント・燃え尽き・人間関係の消耗)があり、働くこと自体に恐怖・嫌悪が結びついている場合、「働く意味」そのものへの問いに行き詰まっている場合、自己肯定感が低く「どうせ自分なんか」という諦めが先立っている場合などが挙げられます。

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メンタルヘルスについて考えるイメージ
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これらは「性格の弱さ」ではありません。状態や経験から生まれた、とても自然な反応です。

「働く意欲が湧かない」の背景にあるもの うつ・双極性障害など 症状としての意欲低下 過去の職場でのトラウマ 燃え尽き・恐怖 「働く意味」が分からない 自分のためになる? 自己肯定感の低さ 「どうせ無理」という諦め
「働きたい気持ちが湧かない」には複数の背景がある——一人で抱えなくていい

「意欲があってから動く」は順番が逆かもしれない

多くの方は「やる気が出てきたら就労支援に行こう」と思っています。しかし、うつや回避的な状態のときは、行動する前にやる気を待っていると、永遠に動けないことがあります。認知行動療法的な観点からは、「行動が先、気持ちはあと」という考え方があります。小さな行動(見学に行くだけ・電話するだけ)が、次の気持ちを少し動かすことがあります。

「意欲がないのに動くのは嘘をついている気がする」と感じる方もいます。でも、「完全にやりたい気持ちが持てなくても、取りあえず行ってみる」という態度は、自分への不誠実ではありません。人は動いてみて初めて「あ、これは嫌だな」「これは思ったより悪くないな」と気づくことができます。

「やる気が全くないのに就労移行支援に行くのって変かな、と思ってたけど、行ってみたら担当の人が『やる気があって来る人の方が少ないですよ』って言ってくれた。その一言でものすごく楽になった。」

30代・女性(うつ病)

「働く理由」を探す必要はない

「なぜ働きたいのか」「働くことで何を叶えたいのか」——こういった大きな問いに答えられなくて当然です。就労支援の現場では、「立派な働く理由」がなくていいと考えています。「お金が必要」「家にいるとしんどい」「誰かと話したい」——これで十分です。「働く崇高な意味」を持っている人より、「なんとなく働いた方がいいかな」と思っている人の方が、実際の就労につながっているケースは多くあります。

「今の自分」の状態を正直に話すことから始まる

「働きたいのか分からない」「意欲が湧かない」という状態のまま支援機関を訪ねることは、全く問題ありません。むしろ、その状態を正直に話すことが、最もその人に合った支援を考えるための出発点になります。「完璧な状態で行かなければ」という思い込みは、最初の一歩を遠ざけてしまいます。

「やる気がない」と伝えること自体が、支援者にとって重要な情報です。「今は体調が安定していない段階かもしれない」「まず医療的なケアを優先した方がいいかもしれない」——支援者はそこから一緒に考えることができます。

「やる気がない状態」から始められる支援のイメージ やる気ゼロ 「まあいいか」くらい 働きたい! ここからでも 来ていい もちろんOK 一緒に考えよう 支援者 どんな状態でも一緒に考えます
「やる気がゼロの状態」からでも、支援を受けることはできる

「意欲が持てない」ことを責めないための視点

働く意欲が湧かないことを、自分の「怠け」や「甘え」だと責めてしまう方は多くいます。でも、意欲は「気合で絞り出すもの」ではなく、「状態・環境・経験の結果として生まれるもの」です。意欲が持てない状態にある自分を責めるより、「どんな状態にあるか」を正確に見て、そこから動ける小さな一歩を探すことが、建設的なアプローチです。

「働きたい気持ちが分からない」ままで来てください。その状態を一緒に見ることが、最初の一歩です。

よくある質問

Q. やる気がないのに就労支援に行ってもいいですか?
はい。「やる気がない状態」から始めることは全く問題ありません。むしろその状態を伝えることが出発点になります。
Q. 働く意欲が湧かない原因は何ですか?
症状・過去の経験・自己肯定感の低さなど複数の要因があります。一人で原因を特定しなくていいです。
Q. 「働く意味」が見つからないのですが
見つからなくていいです。「お金が必要」「家にいるのが辛い」程度の理由で十分な出発点になります。
Q. うつで意欲がないです。どうすればいいですか?
まず医療的なケアを優先することを支援者と一緒に考えます。症状が落ち着いてから就労準備を始めることが多いです。
Q. 意欲がない自分が嫌いです
意欲は気合で生まれるものではありません。自分を責めるより、状態を正直に話すことから始めてください。

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おのざる
おのざる(mimemime)
就労支援員として障がいのある方の「働く」に伴走してきた経験をもとに、一人ひとりに向き合う支援を届けています。