制度・サービス / 就労移行支援

就労移行支援とは何か——利用前に知っておきたい仕組みと選び方

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:15〜20分
仕事のメモを取る人のイメージ、転職活動・就活

この記事の目次

  1. 就労移行支援とは——制度の基本を押さえる
  2. 「怪しくないか」という不安への正直な答え
  3. 事業所の選び方——失敗しないための5つの確認ポイント
  4. 就労移行支援を使うべき人・使わなくていい人
  5. 利用の流れ——最初の一歩は「見学の予約」だけ
「就労移行支援という言葉は聞いたことがあるけど、何をするところなのか全然分からない」「無料で使えると聞いたけど、何か裏があるんじゃないかと不安」「事業所がたくさんあって、どこを選べばいいか分からない」。 就労移行支援を知ったばかりの方から、こういった疑問をよく受けます。この記事では、制度の仕組みから事業所の選び方まで、使う前に知っておくべきことを整理します。

就労移行支援とは——制度の基本を押さえる

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく「障害福祉サービス」の一つです。一般就労(企業への就職)を目指す障害のある方が、就職に向けたスキルを身につけるための支援を、最大2年間受けることができます。

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福祉制度について相談する人のイメージ
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主な支援内容としては、ビジネスマナー・コミュニケーションスキルの習得、業務体験・職場実習、応募書類の作成サポート、面接練習、就職後の定着支援などがあります。利用中は施設に「通所」する形が基本で、週5日通える事業所から週1〜2日のペースで始められる事業所まで様々です。

費用については、世帯の所得に応じて自己負担が発生する場合がありますが、多くの利用者は無料もしくは低額で利用できます。経済的な不安から利用をためらっている方も、まず自治体の障害福祉窓口に確認することをお勧めします。

※費用・利用要件は所得状況・自治体によって異なります。詳細はお住まいの市区町村の障害福祉窓口にご確認ください(2026年時点の情報に基づきます)。
就労移行支援の「流れ」——入所から就職まで STEP 1 見学・体験 事業所に 相談・見学 1日体験も可 STEP 2 申請・利用開始 市区町村に 受給者証申請 →利用スタート STEP 3 訓練・実習 スキル習得 職場実習 最大2年間 STEP 4 就職・定着支援 就職活動サポート 就職後6ヶ月 定着フォロー付き ✓ ゴール!
見学から就職定着まで——就労移行支援の全体の流れ

「怪しくないか」という不安への正直な答え

「就労移行支援って怪しくないですか?」という質問は、よく受けます。結論から言えば、就労移行支援は国の制度に基づいた正式な福祉サービスです。ただし、事業所の質には大きなばらつきがあります。就職率・定着率が高く、丁寧な支援をしている事業所がある一方で、数をこなすだけで個別対応が薄い事業所も存在します。

「怪しい」と感じやすい要素の一つとして、「無料(または低額)でなぜサービスを提供できるのか」という疑問があります。これは、事業所の運営費が国や自治体の障害福祉サービス報酬によって賄われているためです。利用者から直接費用を大きく取るビジネスモデルではなく、公的資金を財源としています。

事業所の選び方——失敗しないための5つの確認ポイント

就労移行支援の事業所選びは、就職の質に直結します。以下の5点を必ず確認してから利用を決めることをお勧めします。

良い事業所・要注意な事業所の特徴 ✓ 信頼できる事業所の特徴 ・就職率・定着率を公開している ・見学・体験を歓迎する ・個別の支援計画を一緒に作る ・就職後の定着支援も手厚い ・スタッフが話しやすい雰囲気 ・「利用者ファースト」が感じられる ⚠ 要注意な事業所の特徴 ・就職率・定着率を教えてくれない ・見学を急かしたり断ったりする ・「すぐ入所を」と急ぐ ・個別の相談が少ない ・スタッフの離職率が高い ・就職後のフォローが薄い
複数の事業所を比較してから決めることが、良いスタートへの近道

就労移行支援を使うべき人・使わなくていい人

就労移行支援が「向いている」のは、就職に向けてスキルや経験が少ない方、病気・障害で長期間働いていない方、一人での就活に不安を感じる方、職場でうまくいかない理由を整理したい方などです。

一方で、すでに就職できる状態が整っており、企業への直接応募だけで十分なスキル・経験がある方や、ハローワークの専門支援窓口だけで十分なサポートが受けられる方は、就労移行支援を使わなくても就職できることがあります。「自分に必要かどうか」の判断は、相談支援専門員やハローワークに相談することでクリアになる場合があります。

「最初は就労移行支援に行くのが嫌だった。でも3社見学して、一番雰囲気が合ったところを選んで通い始めたら、自分でも驚くほど変わった。スタッフさんが親身で、初めて『就職できるかも』と感じた。」

20代・女性(うつ・ASD)

利用の流れ——最初の一歩は「見学の予約」だけ

就労移行支援の利用を始めるための最初の一歩は、気になる事業所に見学の連絡を入れることです。電話・メール・Webフォームなど様々な方法で予約でき、見学だけなら申請なしに訪問できます。その後、「利用したい」と思ったら受給者証(障害福祉サービスの利用証明書)を申請し、利用契約を結びます。

受給者証がない段階から見学・相談ができます。「まだ何も準備していない」「どこに相談していいか分からない」——その状態で事業所に問い合わせても全く問題ありません。むしろ、それが最初の一歩です。

就労移行支援の「最初の一歩」は、気になる事業所に見学の連絡を入れることだけです。その一歩を、ぜひ踏み出してみてください。

よくある質問

Q. 就労移行支援は無料ですか?
世帯の所得に応じて異なりますが、多くの方は無料または低額で利用できます。詳細はお住まいの市区町村窓口にご確認を。
Q. 就労移行支援の利用期間はどのくらいですか?
原則として最大2年間です。状況によって延長ができる場合があります。
Q. 複数の事業所を掛け持ちできますか?
通常は1つの事業所のみ利用します。ただし、見学・体験は複数行ってから決めることをお勧めします。
Q. 就労移行支援に通いながら副業・アルバイトはできますか?
事業所・自治体によって異なります。利用前に事業所に確認してください。
Q. 精神障害者保健福祉手帳がないと使えませんか?
手帳がなくても、医師の診断書等で利用できる場合があります。まず窓口に相談を。

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おのざる(mimemime)
元介護福祉士・現役就労移行支援員を経て、障がいのある方の就労支援に特化した伴走型サービスmimemimeを設立。