うつ / 就労と継続

うつで仕事が続かない——「また辞めた」を繰り返さないための考え方

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:15〜20分
気持ちを整理するためのメモ、精神的なケアのイメージ

この記事の目次

  1. 「続かない」のはなぜか——パターンを知ることが最初の一歩
  2. 「なぜ辞めたのか」を正直に言語化する
  3. 主治医との連携——「働ける状態か」の判断を一人でしない
  4. 「短時間・週数日」から始めることの意味
  5. 「辞めた」ことは経験であって、失敗ではない
「また辞めてしまった」「3ヶ月ごとに転職を繰り返している」「どうして自分は続かないんだろう」——うつを抱えながら働いている方から、この悩みを聞くことは本当に多くあります。 大切なことをまず伝えさせてください。「続かない」ことは、あなたの意志が弱いからではありません。辞めてしまうことには、必ず理由があります。その理由を一緒に見ていきましょう。

「続かない」のはなぜか——パターンを知ることが最初の一歩

うつを持ちながら仕事が続かない方には、いくつかの共通したパターンがあります。最も多いのは「症状が落ち着いたと感じた時点で、回復を過大評価してしまう」ことです。「もう大丈夫だ」と思ってフルタイムで就職し、3ヶ月で限界を迎えてしまう——このサイクルを繰り返してきた方は少なくありません。

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精神的に追い詰められた人のイメージ
精神的に追い詰められた人のイメージ

他によくあるパターンとして、「職場環境があっていない(騒音・人間関係・業務量)のに我慢してしまう」「調子が悪くなっても誰にも言えない」「ストレスに気づかないまま積み上がってしまう」なども挙げられます。「続かない」理由を知ることが、次に続けるための設計の出発点になります。

「また辞めた」サイクルと、そこから抜け出す視点 回復を過大評価 無理して就職 3〜6ヶ月で限界 退職・療養 自己嫌悪 サイクルから抜け出す視点 ・回復量を正直に評価する ・短時間から段階的に ・SOSを出せる関係を作る ・辞めた理由を言語化する ・支援者と設計を共有する
「また辞めた」のサイクルには構造がある——それを知るだけで次が変わる

「なぜ辞めたのか」を正直に言語化する

「また辞めてしまった」と感じたとき、多くの方が「自分がダメだから」という結論に飛びつきます。しかし、辞めた理由を丁寧に掘り下げると、実は「環境的な要因」が大きいことがほとんどです。人間関係、業務量、通勤時間、職場の騒音レベル、フィードバックの不足、評価されない感覚——これらは「環境の問題」であり、「あなたの能力の問題」ではありません。

次に働く職場を選ぶ前に、「前の職場でなぜ辞めたか」を具体的に書き出してみることをお勧めします。「人間関係」という大きな理由より、「Aさんの話し方が毎回怖かった」「報告のやり取りが多すぎて消耗した」という具体的な理由の方が、次の職場選びに活きます。

主治医との連携——「働ける状態か」の判断を一人でしない

うつの回復過程は、波があります。「調子がいい日が続いている」「薬が減った」という感覚だけで「もう働けるはず」と判断するのは、リスクが高いです。うつからの就労に向けた判断は、できれば主治医と相談したうえで行うことをお勧めします。

主治医に「そろそろ就労を考えています」と伝えることで、「今の状態で何時間・何日働けそうか」「どんな環境が適切か」についての医学的な視点を得ることができます。就労移行支援を使う場合も、主治医の意見書が求められることがあります。

※本記事は特定の症状・診断に言及しますが、医療的判断はできません。症状が辛い場合は精神科・心療内科への受診をご検討ください(2026年時点の情報に基づきます)。

「5回転職を繰り返して、やっと支援機関に相談した。そこで初めて『うつの回復と就労可能な状態は別物』と聞いて、目が覚めた。それまでは薬が減ったら働けると思い込んでいた。」

40代・男性(うつ病・就労移行支援利用後に就職)

「短時間・週数日」から始めることの意味

うつからの就労では、「フルタイムで頑張る」より「短時間から無理なく始める」アプローチが、長期的には続くことが多いです。週3日・1日4〜5時間という形でスタートし、3〜6ヶ月かけて徐々に時間・日数を増やす——この「段階的移行」は、体が職場環境に慣れるための時間を作ります。

「短時間から始めると給与が少ない」という現実はあります。しかし、短時間で続けながら安定してきたときに増やす方が、フルタイムで無理して3ヶ月で辞めることを繰り返すより、長い目で見てトータルの収入も安定します。

「段階的就労」のイメージ——無理なく積み上げる 就職直後 3ヶ月後 6ヶ月後 1年後 週2日 週3日 週5日 週2〜3日 短時間から 週3〜4日に 少しずつ増やす 週4〜5日 フルタイムへ
段階的に日数・時間を増やす「スモールステップ」が、長く続けるための基本

「辞めた」ことは経験であって、失敗ではない

「また辞めてしまった」という自己嫌悪は、とても消耗します。しかし、一度立ち止まって考えてみると、辞めるたびに「合わない環境」「耐えられない要因」が少しずつ明確になっているはずです。それは失敗ではなく、「自分に合う働き方を探すプロセス」です。

就労に関する「失敗経験」は、支援者にとって非常に重要な情報です。「どんな職場で何がきつかったか」「何があれば続けられたか」——これらを支援者に伝えることで、次の職場選びの精度が大きく上がります。「また辞めてしまった」と感じているなら、その経験を活かす場所に来てください。

「また辞めてしまった」のではなく、「また一つ、合わない環境を知った」。その視点の転換が、次への一歩を楽にします。

よくある質問

Q. うつで何度も仕事を辞めてしまいます。どうすればいいですか?
辞めた理由を具体的に整理し、支援者と次の職場選びの条件を作ることが最初のステップです。
Q. うつで働ける状態かどうかの判断はどうすればよいですか?
主治医に相談することをお勧めします。自分だけの判断は回復の過大評価につながりやすいです。
Q. うつでフルタイムはきついです
週2〜3日・短時間から段階的に増やすアプローチが、長く続けるために有効です。
Q. うつで転職を繰り返しています。履歴書に不利ですか?
障害者雇用では、経緯よりも「今の状態と配慮の内容」が重視されます。
Q. 支援機関に行くのが恥ずかしいです
「うつで続かなかった経験がある」ことは支援機関に最も伝わりやすい情報です。恥ずかしくありません。

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おのざる
おのざる(mimemime)
元介護福祉士・現役就労移行支援員を経て、障がいのある方の就労支援に特化した伴走型サービスmimemimeを設立。