発達障害 / 注意・記憶の工夫

忘れ物・遅刻が多い自分を責めてしまうあなたへ——ADHDと「注意の問題」を整理する

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:15〜20分
発達特性で困った場面のイメージ、職場の理解

目次

  1. ADHDと「忘れ」の仕組み——なぜ繰り返してしまうのか
  2. 「遅刻」の背景にある時間感覚の問題
  3. 職場での「忘れ」を減らす実践的な方法
  4. 「また失敗した」から立ち直るメンタルの整え方
  5. 職場開示と配慮の活用——仕組みを公式にする
「また鍵を忘れた」「また資料を持ってくるのを忘れた」「また遅刻してしまった」——忘れ物や遅刻が続くと、「自分は本当にダメな人間だ」と感じてしまう方が多くいます。でも、ADHDによる注意の問題は「気の緩み」でも「怠け」でもありません。脳の情報処理の特性から生まれることが多く、気合や根性ではなかなか変えられない部分があります。この記事では、その仕組みと現実的な対処方法を整理します。

ADHDと「忘れ」の仕組み——なぜ繰り返してしまうのか

ADHDのある方が忘れ物・遅刻を繰り返すのは、「注意の調整」に関わる脳の働きが一般的な状態と異なるためと考えられています(2026年時点の研究に基づきます)。具体的には、ワーキングメモリ(作業記憶)の弱さ、時間感覚のゆがみ(「まだ時間があると思ったのに気づいたら間に合わない」)、複数の情報を同時に保持する難しさ、などが関係していることが多いです。

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発達障害と仕事に向き合う人のイメージ
発達障害と仕事に向き合う人のイメージ

これらは「意識していなかった」のではなく、「意識していても脳が保持し続けることが難しい」状態から生まれます。「気をつければ直る」という考え方が通じない部分があるため、環境設計・仕組みづくりが重要になります。

※ 上記はADHDに関する一般的な説明であり、個人の状態は異なります。具体的な特性・対処方法は専門家(医師・支援者)と相談することをお勧めします。
「忘れ」が起きるサイクルと対処のポイント 記憶しようとする → 別の刺激が入る → 上書きされる 対処 外部記憶装置を使う ・スマホ通知設定 ・玄関のチェックリスト ・前日夜の準備ルーティン ・「指差し確認」の習慣化 「忘れ」の頻度を 外部の仕組みで カバーする
「気をつける」ではなく「仕組みを作る」——これが現実的なアプローチ

「遅刻」の背景にある時間感覚の問題

ADHDのある方に多い時間感覚の問題として、「時間の流れを肌で感じにくい(時間盲)」という特性があります。「30分後に出ないといけない」と分かっていながら、体感としては「まだまだ余裕がある」と感じてしまい、気づいたら間に合わない——という経験をする方は少なくありません。

このとき「もっと計画的になれ」「スケジュール管理をしっかりしろ」という指摘は、問題の本質にアプローチしていないことがほとんどです。「時間を視覚化する」仕組みが有効なことがあります。例えば、アナログ時計を見えるところに置く(針の動きが時間経過を視覚的に伝える)、タイムタイマー(残り時間が赤い扇形で見える時計)を使う、出発15分前にアラームをセットする、などです。

職場での「忘れ」を減らす実践的な方法

仕事の場での忘れ物・伝達ミスを減らすための実践的な工夫を紹介します。以下はあくまで一般的な例であり、個人の特性や職場環境によって効果は異なります。

「何度注意されても忘れ物が直らなくて、本当に悩んでた。支援員さんに相談して、玄関に持ち物チェックリストを貼ったら激減した。そんな単純なことで?って思ったけど、効果があった。仕組みで解決できることってあるんだと知った。」

20代・男性(ADHD)

「また失敗した」から立ち直るメンタルの整え方

忘れ物や遅刻を繰り返すと、「自分はダメだ」「職場に居場所がない」という自己否定が積み重なります。この感情は自然な反応ですが、放置すると「どうせまたやらかす」という予期不安になり、さらにミスを引き起こす悪循環になることがあります。「今日は失敗した」という事実と「だから自分はダメだ」という評価を切り離すことが、長期的な就労継続に重要です。

また、「また失敗した」と思ったとき、支援者や信頼できる職場の人に「こういうことがあって落ち込んでいる」と一言話せる関係があると、回復が早まることがあります。

職場開示と配慮の活用——仕組みを公式にする

オープン就労(障害開示)をしている場合、「忘れ物・遅刻に関する配慮」として、職場から合理的配慮を受けられる可能性があります。例えば、指示を口頭だけでなく文字でも伝えてもらう、重要な締め切りを前日にもリマインドしてもらう、などです。「配慮をお願いするのが申し訳ない」と感じる方も多いですが、配慮を活用することで仕事の質が上がり、職場全体のメリットにもなります。

「また忘れた」は「ダメな自分の証拠」ではなく「仕組みが足りなかったサイン」——一緒に対策を考えましょう。

よくある質問

Q. ADHD の忘れ物は根性で直せますか?
直しにくいです。根性より、外部記憶(チェックリスト・アラーム)を使う環境設計の方が現実的です。
Q. 職場で忘れ物を理由に叱られ続けています
開示をして配慮を求めることが選択肢になります。支援者と一緒に職場への伝え方を考えましょう。
Q. 時間管理アプリはどれがいいですか?
個人差があります。Googleカレンダー・Todoist・アラームの複数設定などを試してみることをお勧めします。
Q. 子どもの頃から忘れっぽいのですが発達障害でしょうか?
記事は診断の根拠になりません。気になる場合は精神科・心療内科や発達障害専門外来への相談をお勧めします。
Q. 忘れ物が多いことを上司に何と説明すればいいですか?
「メモや文字指示があると確実に対応できます」のように、配慮の依頼という形で伝えると受け入れられやすいです。

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おのざる(mimemime)
就労支援員として障がいのある方の「働く」に伴走してきた経験をもとに、一人ひとりに向き合う支援を届けています。