発達障害 / タスク管理

マルチタスクが苦手なのに仕事は終わらない——ADHDとシングルタスクの話

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:15〜20分
職場でのストレスを感じる人のイメージ、発達障害

目次

  1. ADHDがマルチタスクで消耗する理由
  2. 「今、何をやるか」を一つに絞る技術
  3. 職場でマルチタスクを求められたときの対処
  4. 「仕事が終わらない」の整理——量の問題か、方法の問題か
「次々と仕事が入ってくると、どれから手をつければいいか分からなくなってパニックになる」「マルチタスクを求められると頭が真っ白になる」——ADHDのある方にとって、マルチタスクは特に消耗が大きい業務スタイルです。この記事では、ADHDとマルチタスクの関係性と、仕事を現実的に回していくための考え方を整理します。

ADHDがマルチタスクで消耗する理由

ADHDのある方がマルチタスクで特につらくなる背景として、タスクの切り替えコストが高いという特性があります。一つのことに集中する「過集中」が起きやすい一方で、意図的に注意を切り替えることが難しく、複数の仕事を同時進行させることで認知的な負荷が一気に増えます。「あれもこれも」という状態になると、どれにも集中できなくなり、全体的な作業効率が落ちます。

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集中の難しさを感じる人のイメージ、ADHD
集中の難しさを感じる人のイメージ、ADHD

また、優先順位をつけることそのものが難しい場合もあります。「どれが重要か分からない」「全部急いでいるように見える」という状態になると、最終的に「どれも手をつけられない」という選択肢が出てしまうことがあります。

マルチタスク vs シングルタスク——ADHDの場合 マルチタスク状態 ?? タスクA(急ぎ) タスクB(大事) タスクC(複雑) シングルタスク設計 今やるのはこれだけ タスクAに集中 → 完了 → 次
「同時進行」より「順番に一つ」——シングルタスク設計が鍵

「今、何をやるか」を一つに絞る技術

ADHDの方がマルチタスクをうまく回すための第一歩は、「今やることを一つに絞る」という設計です。複数のタスクがある場合、以下のステップが有効なことがあります。

職場でマルチタスクを求められたときの対処

職場でマルチタスクが避けられない場面では、上司や同僚に「一つずつ確認しながら進めたい」と伝えることが有効なことがあります。「優先順位を教えてもらえますか」「どれが最も急ぎですか」と聞くことは、仕事の質を上げるための正当な確認です。「そんなことも分からないのか」と思う職場なら、それ自体が問題かもしれません。

オープン就労の場合は、「マルチタスクより順番に一つずつ処理する方が質が上がる」という特性を開示し、業務設計を相談することも一つの選択肢です。

「以前の職場は常に複数のことを同時にやらされて、毎日頭がパンクしてた。今の職場は上司が『何が今一番大事?』を毎朝教えてくれる。それだけで全然違う。マルチタスクじゃなくて、順番が分かれば動ける。」

30代・女性(ADHD・ASD)

「仕事が終わらない」の整理——量の問題か、方法の問題か

「どれだけ頑張っても仕事が終わらない」という場合、純粋に業務量が多すぎる場合と、業務量は適正だが方法が合っていない場合があります。支援者や職場の信頼できる人と「今の業務量は適正か」「方法を変えることで解決できるか」を整理することが出発点です。「自分の能力が低い」と一人で結論づける前に、環境・方法の問題として見直せる部分がないか確認することをお勧めします。

「マルチタスクが苦手」は直す必要はありません。シングルタスクで質よく動ける設計を一緒に考えましょう。

よくある質問

Q. ADHDはマルチタスクが絶対にできないのですか?
人によります。ただ、多くの方にとってシングルタスク設計の方が消耗が少なく、質も高くなることが多いです。
Q. 複数の仕事を頼まれたとき、どう断ればいいですか?
断るより「優先順位を教えてください」と聞く方が職場に受け入れられやすいです。
Q. 仕事がいつまで経っても終わらず困っています
業務量が適正かどうかと、方法を変えられるかどうかを分けて考えましょう。支援者に相談することをお勧めします。
Q. タスク管理ツールは何を使えばいいですか?
Todoistや付箋アプリなど。大切なのはツールより「今やる1つを決める」習慣です。
Q. マルチタスクできる職場とできない職場の見分け方は?
見学・実習で「業務が順番か同時進行か」「上司が優先度を明示するか」を確認することをお勧めします。

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おのざる(mimemime)
就労支援員として障がいのある方の「働く」に伴走してきた経験をもとに、一人ひとりに向き合う支援を届けています。