障がい種別 / 高次脳機能障害

高次脳機能障害と仕事——記憶や集中力の変化と向き合いながら働くために

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:14〜18分
前向きに歩む人のイメージ、mimemimeコラム

目次

  1. 高次脳機能障害は「見えにくい障害」
  2. 仕事で出やすい4つの困りごとと、現場で使える工夫
  3. 一人で抱えず、使える支援先を知っておく
事故や病気の後遺症で、前は当たり前にできていたことが、なぜかうまくいかなくなった。指示を聞いたはずなのに思い出せない。一つの作業をしているうちに、何をしていたか分からなくなる。「ちゃんとやろうとしているのに、なぜできないんだろう」——その戸惑いは、あなたが怠けているからではありません。この記事では、高次脳機能障害のある方が仕事でつまずきやすいポイントと、現場で使える工夫、相談できる支援先を整理します(2026年6月時点の情報です)。

高次脳機能障害は「見えにくい障害」

高次脳機能障害は、脳卒中や頭部外傷、低酸素脳症などによって脳が損傷を受けたことで、記憶・注意・思考・感情のコントロールなど、目に見えにくい部分に影響が出る障害です。手足の動きや見た目には大きな変化がない場合も多く、周囲から「見た目は元気なのに、どうしてできないんだ」と誤解されやすいことが、本人にとって大きな負担になっています。

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特性を理解しながら働く人のイメージ
特性を理解しながら働く人のイメージ

本人自身も、何がどう変わったのかをうまく説明できないことがあります。「前はできていたのに」という記憶があるからこそ、今の自分とのギャップに苦しんでしまう。これは特性や努力不足の問題ではなく、脳の損傷による機能の変化として理解する必要があります。

「見えにくい障害」が生むすれ違い 本人の実感 「覚えられない」「混乱する」 周囲から見える姿 「見た目は変わらないのに…」
外からは見えにくいからこそ、職場での理解と共有が大切になる
高次脳機能障害は、原因や症状によって精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合があります。手帳の要否や手続きは自治体・医療機関により異なるため、2026年6月時点の最新情報は主治医やお住まいの自治体窓口に確認することをお勧めします。

仕事で出やすい4つの困りごとと、現場で使える工夫

高次脳機能障害による仕事の困りごとは、大きく4つに分けられることが多いです。一つずつ整理しながら、現場で試しやすい工夫も合わせて見ていきます。

仕事で出やすい4つの困りごと ①記憶障害 指示や手順を覚えにくい → メモ・ToDoリストを  「見える場所」に置く → 口頭指示は文字でも確認 ②注意障害 集中が続かない・気が散る → 一度に一つの作業に絞る → 短い時間で区切って休憩 → 静かな環境を相談する ③遂行機能障害 計画を立てて進めにくい → 作業を小さな手順に分ける → チェックリスト化する → 優先順位を一緒に確認 ④社会的行動障害 感情の起伏が出やすい → 落ち着く場所を決めておく → 疲労のサインを自分で把握 → 支援者と振り返る機会を
困りごとの種類が分かれば、対処の方向性も見えてくる

記憶障害——「覚えられない」を仕組みで補う

新しい情報を記憶に留めることが難しくなることがあります。本人の努力だけで解決しようとせず、メモやスマートフォンのリマインダー、付箋など「外部に記録する仕組み」を当たり前のものとして使うことが大切です。

注意障害——「集中が続かない」を環境で支える

一つのことに集中し続けたり、複数のことに同時に気を配ったりすることが難しくなる場合があります。タスクを一つずつ提示してもらう、区切りのいいところで小休止を入れるなど、環境側の調整で負担を減らせることがあります。

遂行機能障害——「計画が立てにくい」を分解して乗り越える

仕事の全体像をつかんで順序立てて進めることが難しくなることがあります。作業を小さなステップに分け、一つずつ確認しながら進める方法が現場でよく使われています。

社会的行動障害——「感情のコントロール」は周囲の理解も必要

怒りや不安が思った以上に強く出てしまうことがあります。これは性格の問題ではなく、脳の機能変化によるものです。落ち着くための場所や時間を事前に決めておく、信頼できる人に相談できる関係を作っておくことが助けになります。

「事故の後、前と同じようにできない自分にずっと腹が立っていた。でも『覚えられないなら書けばいい』と支援員に言われて、ノートに頼ることを許せるようになった。できないことを認めるのが、最初の一歩だった気がする。」

40代・男性(高次脳機能障害・就労継続中)

一人で抱えず、使える支援先を知っておく

高次脳機能障害は、本人だけで対処しようとすると孤立しやすい障害です。医療機関のリハビリテーション科、地域の高次脳機能障害支援拠点機関、ハローワークの専門窓口、就労移行支援事業所など、相談できる場所は複数あります。どこに相談すればいいか分からないときは、まず一つの窓口につながることから始めても大丈夫です。

前と同じようにできないことは、終わりではありません。今の自分に合った働き方を、専門家や支援者と一緒に探していくことができます。

よくある質問

Q. 高次脳機能障害があると、もう前と同じように働けませんか?
前と全く同じやり方が難しくなることはありますが、工夫や環境調整によって働き続けている方は多くいます。一人で判断せず、専門家や支援員に相談しながら自分に合った形を探すことをお勧めします。
Q. 記憶が苦手なことを職場にどう伝えればいいですか?
「忘れやすい」ではなく「メモを取る前提で指示をいただけると助かります」など、具体的な配慮の形で伝えると職場も対応しやすくなります。
Q. 高次脳機能障害は障害者手帳の対象になりますか?
原因や症状によって精神障害者保健福祉手帳または身体障害者手帳の対象になる場合があります。2026年6月時点では、自治体や医療機関への確認が必要です。
Q. どこに相談すればいいかわかりません
医療機関のリハビリテーション科や、地域の高次脳機能障害支援拠点機関、就労移行支援事業所などが相談先になります。mimemimeでも一緒に整理できます。
高次脳機能障害と働くための5つのポイント 1 情報を視覚化する メモ・ToDoリストで「見える化」する 2 一つずつ集中する 同時並行を避け、タスクを区切る 3 合理的配慮を相談する 「助かる配慮」の形で職場に伝える 4 疲れたら無理せず休む 頑張り続けることが目的ではない 5 第三者に状況を共有する 支援員・医療者と一人で抱えない
5つのポイントを、できることから少しずつ取り入れてみてください

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就労支援員として障がいのある方の「働く」に伴走してきた経験をもとに、一人ひとりに向き合う支援を届けています。