障がい種別 / てんかん

てんかんと仕事の「発作が起きたらどうしよう」という不安と、伝えるか迷う気持ち

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:12〜15分
ゆっくり考える人のイメージ、就労・生活コラム

目次

  1. いつ起きるか分からない、という不安と一緒に働く
  2. 「運転できない」「危ない」というイメージとの距離
  3. 伝えるか、伝えないか——発作との向き合い方を一緒に考える
電車に乗っている間も、会議室に入る前も、頭の片隅で「もし今、発作が起きたら」と考えてしまう。実際には何も起きていないのに、その可能性だけで気持ちが削られていく。てんかんのある方が仕事を続けるうえで抱える苦しさは、発作そのものへの不安だけでなく、「いつ起きるか分からないものと、どう付き合いながら働くか」という、終わりのない問いと向き合い続けることでもあります。職場に伝えるべきか、運転や危険な作業はどうなるのか——現場でよく聞かれる悩みを整理しました(2026年6月時点の情報です)。

いつ起きるか分からない、という不安と一緒に働く

てんかんは、脳の神経細胞が一時的に過剰な電気活動を起こすことで、意識を失ったり、体の一部または全体が動いてしまったりする発作が繰り返される病気だとされています。発作の型や頻度、持続時間には大きな個人差があり、薬による治療で発作が長期間起きていない方もいれば、治療を続けても発作が完全になくならない方もいます。

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障害を持ちながら情報収集する人
障害を持ちながら情報収集する人

厄介なのは、発作そのものよりも「次がいつ来るか分からない」という予測のつかなさです。今日は大丈夫でも、明日の会議中に起きるかもしれない。そう考えると、人前に立つ仕事や、一人で外回りをする時間そのものが緊張の対象になっていきます。発作が起きていない時間まで、不安に使われてしまう感覚です。

本人が抱えている不安 / 実際に流れている時間 今、起きたらどうしよう 会議はいつもどおりに進んでいる
不安の多くは、起きていない出来事を先取りしてしまうことから生まれる
発作の型・頻度・持続時間には大きな個人差があります。「てんかんだからこう」と一括りにできるものではなく、本人の状態や治療の経過によって向き合い方も変わってきます。

「運転できない」「危ない」というイメージとの距離

てんかんに対しては、「運転は一切できない」「危ないから任せられる仕事がない」といったイメージが今も残っていることがあります。しかし実際には、発作の状態によって判断が分かれます。2026年6月時点では、一定期間発作が起きていないなど一定の条件を満たせば、運転免許の取得や更新が認められる場合があるとされていますが、これは個別に公安委員会や主治医へ確認すべき事柄です。「てんかんだから絶対に無理」と決めつけるものではない一方、「誰でも大丈夫」と言えるものでもありません。

業務内容についても同じです。高所での作業や、火気・刃物を扱う作業、長時間の単独運転など、発作が起きた場合に安全への影響が大きい業務は、症状の状態に応じて調整が必要になることがあります。一方で、それ以外の多くの業務には法的な制限はなく、「てんかんがあるから事務職しかできない」というわけでもありません。向き不向きは、病名ではなく発作の状態と業務内容の組み合わせで考えるものです。

「隠れているもの」だからこそ生まれる誤解

発作が起きていないときの本人は、見た目には何の症状もありません。だからこそ、「本当に病気なのか」「気にしすぎなのではないか」と周囲から軽く受け取られてしまうことがあります。逆に、過去に発作の場面を見た人からは「何が起きるか分からない、怖い」という印象だけが強く残ってしまうこともあります。どちらも、発作という出来事の一部分だけを見て、全体像が伝わっていないために起こるすれ違いです。

「採用面接のとき、てんかんがあることを伝えたら『運転業務は無理だよね』とすぐに言われた。実際は出張で運転をすることはほとんどない職種だったのに、病名だけで判断された感じがして、その場で一歩引いてしまった。後で『発作が起きたらどう対応すればいいか教えてほしい』と聞かれたときの方が、ずっと話しやすかった。」

20代・男性(てんかん・営業事務職)

伝えるか、伝えないか——発作との向き合い方を一緒に考える

病名の開示そのものに法的な義務はないとされています。ただし、発作が起きた場合に安全への影響が大きい業務に関わる場合は、業務内容に応じて事前の相談が必要になることがあります。「全部隠す」か「すべて話す」かの二択ではなく、業務に関係する範囲だけを先に伝えておく、という選択肢もあります。

伝える内容にはいくつもの段階がある 発作時の対応のみ 「動かさず横を 向かせてほしい」 病名は伝えない 配慮事項を伝える 「単独での運転業務は 避けたい」など具体的に 必要な範囲の上司に 診断名まで伝える 制度や配慮を継続的に 受けたい場合など 支援員と相談しながら
どの段階を選ぶかは、業務内容や発作の状態によって変えてよい

どの段階を選ぶ場合でも、「発作が起きたときに何をしてほしいか/何をしないでほしいか」を具体的に言葉にしておくことが、伝える側にとっても受け取る側にとっても助けになります。たとえば「発作中は体を強く押さえず、周りの危ないものを遠ざけてほしい」「発作が終わったらしばらく休ませてほしい」というように、対応の手順をセットで共有する形です。一人で言葉にするのが難しいときは、主治医や支援員と一緒に整理することもできます。

「いつ起きるか分からない」という不安は、あなたの心が弱いから生まれるのではありません。予測のつかなさそのものが、誰にとっても不安の種になります。

よくある質問

Q. てんかんがあると運転できないのですか?
発作の状態によって判断が分かれます。2026年6月時点では、一定期間発作が起きていないなど一定の条件を満たせば運転免許の取得・更新が認められる場合がありますが、個別の判断は公安委員会や主治医への確認が前提になります。
Q. 職場にてんかんのことを伝える義務はありますか?
病名の開示そのものに法的な義務はないとされています。ただし運転業務や危険を伴う作業など、発作が起きた場合に安全への影響が大きい業務については、業務内容に応じて事前の相談が必要になる場合があります。
Q. 発作が起きたとき、職場にどう対応してもらえばいいですか?
発作の型や持続時間には個人差があるため、本人の発作時の状態と、周囲がしてほしいこと・しないでほしいことを具体的に共有しておくことが助けになるとされています。一人で整理が難しい場合は支援員や主治医と一緒にまとめる方法もあります。
Q. てんかんのある人は働き続けられますか?
発作の頻度や治療の経過には個人差が大きく、一概には言えません。2026年6月時点では、治療の継続や業務内容の調整によって安定して働き続けている方もいるとされていますが、状況は人それぞれのため医療機関や支援機関への相談が前提になります。
発作への不安と向き合うときに大切にしたい4つのこと 1 予測のつかなさが不安の正体 心が弱いからではない 2 運転・危険業務は状態次第 「絶対に無理」と決めつけない 3 病名より「対応の手順」を先に してほしい・しないでほしいことを具体的に 4 伝え方は一人で抱えなくていい 主治医や支援員と一緒に整理する
できることから一つずつ、自分のペースで取り入れてみてください

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おのざる(mimemime)
就労支援員として障がいのある方の「働く」に伴走してきた経験をもとに、一人ひとりに向き合う支援を届けています。