障がい種別 / 内部障害(腎臓機能障害・人工透析)

人工透析と仕事の両立、「透析後のだるさ」をどう伝えればいいのか分からなかった

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:12〜15分
障害と向き合いながら前を向く人のイメージ

目次

  1. 週3回、4時間。透析がある日の「もう一つの仕事」
  2. 「またお休みですか」という一言が積み重なる
  3. 体力ではなく「時間」の問題だと伝える
透析の日は、仕事が終わってからもう一つの予定が始まる。病院に向かい、ベッドに横になって4時間。終わった頃には体がうまく動かず、駅までの道のりが普段の倍くらい長く感じる。それでも次の日は、いつもと同じ顔で出社する。人工透析を受けながら働く方の苦しさは、体力的なつらさだけでなく、「週に何度も時間を取られていることを、どう伝えればいいのか分からない」という戸惑いでもあります。よく聞かれる悩みを整理しました(2026年6月時点の情報です)。

週3回、4時間。透析がある日の「もう一つの仕事」

血液透析の場合、多くは1回4時間程度の治療を週3回受けるとされています。通院時間や着替え、待ち時間を含めると、半日近くがその日のために使われることも珍しくありません。腹膜透析であれば通院の頻度は減りますが、自宅での処置に毎日一定の時間が必要になります。どちらの方法でも、「治療のための時間」が生活の中に固定で存在し続けることは変わりません。

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障害と前向きに向き合う人のイメージ
障害と前向きに向き合う人のイメージ

透析そのものは見た目では分かりません。だからこそ、職場では「なぜそんなに頻繁に休むのか」「体は元気そうなのに」という疑問の目を感じやすく、本人は何度も同じ説明を繰り返すことに疲れてしまいます。透析後の倦怠感や血圧の変動も、外からは伝わりにくい事情のひとつです。

今週の予定 ○=透析の日(週3回) 少し休みたい 治療を終えた帰り道、体がうまく動かない
カレンダーの○の数だけ、本人にしか分からない重さが積み重なっていく
透析の方法(血液透析・腹膜透析)や頻度、体調の経過には個人差があります。「透析中の人はみんな同じ働き方ができる/できない」と一括りにできるものではなく、必要な配慮も一人ひとり異なります。

「またお休みですか」という一言が積み重なる

厚生労働省や障害者雇用に関する資料では、腎臓機能障害のある方の就労継続には、隔日ごとの通院時間を前提にした勤務シフトの工夫や、ワークシェアリングによって急な不在をカバーできる体制づくりが有効だと整理されています。一方で、こうした体制が整っていない職場では、本人が毎回「すみません、また病院なので」と頭を下げる場面が繰り返されることになります。

悪意のない一言、たとえば「最近よく休むね」「もう大丈夫なの?」が、本人にとっては積み重なって重くなっていくことがあります。透析は治療を続けることそのものが「治った」状態であり、休めば終わるものではありません。この前提が共有されていないと、励ましの言葉のつもりが、本人には「早く元の状態に戻ってほしい」という圧力として伝わってしまうこともあります。

体調の波と仕事の波が、別のタイミングでやってくる

透析直後は血圧が下がりやすく、強い倦怠感やこむら返りが出ることもあるとされています。仕事の締め切りや会議の予定は透析のスケジュールとは関係なく動いていくため、「体調が一番つらいタイミングと、仕事で一番頑張らなければいけないタイミングが重なる」という状況も起こりがちです。

「透析を始めて二年くらいは、誰にも言わずに普通に出社してた。終わった日の夜は本当にしんどくて、家に着いた瞬間に倒れ込むみたいな感じだったけど、次の日は何ともないフリして会議に出てた。今考えると無理しすぎてたと思う。上司に伝えたのは結局、立ちくらみで本当に倒れてからだった。」

40代・男性(血液透析・製造業の現場職)

「『最近休み多いね』って同僚にさらっと言われた時、笑って流したけど、家に帰ってから地味に効いた。悪気はないってわかってるんだけど、週3回病院に行くのを『多い』って言われると、これが私のベースなんだけどな、って一人でモヤモヤする。腹膜透析に変えてからは少し楽になったけど、それまでの半年はずっとそんな感じだった。」

20代・女性(腹膜透析→現在は通院少なめ・事務職)

体力ではなく「時間」の問題だと伝える

透析と仕事を両立するうえで誤解されやすいのが、「体力がないから無理をしている」という見られ方です。実際には、体力そのものよりも「決まった時間が固定で必要になる」という時間の制約が大きな要因になっていることが多いとされています。この違いを伝えられるかどうかで、職場の受け止め方が変わってくることがあります。

1週間(168時間)の使われ方の一例 168時間 /週 仕事:約40時間(24%) 透析・通院:約15時間(9%) 透析後の回復:約9時間(5%) 睡眠・生活:約104時間(62%) ※通院頻度・回復時間は個人差があります
「頻繁に休んでいる」のではなく、最初から時間の使い方が違っているだけ

たとえば「体調が悪いので休みます」という伝え方では、毎回「大丈夫なの?」という心配や疑問につながりやすくなります。一方で「透析治療のため、毎週月・水・金は17時に退勤します」「治療翌日の午前は体調が不安定になりやすいので、重要な会議は避けてもらえると助かります」というように、固定のスケジュールとして伝えると、職場側も予定として組み込みやすくなります。残業や出張についても、「できない」と伝えるだけでなく「この曜日・この時間帯ならできる」という条件をセットで共有すると、調整の話し合いがしやすくなることがあります。

「また休みですか」と言われるたびに頭を下げる必要はありません。治療を続けながら働き続けていること自体が、すでに十分な積み重ねです。

よくある質問

Q. 透析をしながらフルタイムで働くことはできますか?
体調や透析方法、通院スケジュールが安定していれば、フルタイムで働いている方も多いとされています。一方で、透析直後は血圧の変動や倦怠感が出やすいため、勤務時間や業務内容を調整しながら無理のない働き方を選んでいる方も少なくありません。
Q. 職場に透析のことをどこまで伝えればいいですか?
開示の範囲に決まりはなく、段階的に選べるとされています。「通院のため週に決まった時間休む必要がある」という範囲だけ伝える方法もあれば、業務調整のために透析の頻度や体調変化まで詳しく共有する方法もあります。
Q. 残業や出張を断ってもいいのでしょうか?
体調管理を理由に調整を申し出ること自体は問題ないとされています。ただし伝え方によっては誤解を招く場合もあるため、「できないこと」だけでなく「この条件ならできること」も併せて伝えると、調整の話し合いがしやすくなることがあります。
Q. 透析中心の働き方に変えたいとき、何から始めればいいですか?
主治医に体調面での制限を確認したうえで、現職での勤務調整が可能か上司や人事と相談する方法と、夜間透析やフレックス制度のある職場への転職を検討する方法があります。一人で判断が難しい場合は、支援員や専門機関に相談しながら整理することもできます(2026年6月時点の情報です)。
大切にしたい5つのこと 体力不足ではなく「時間の制約」だと伝える 通院日を固定スケジュールとして共有する 「できないこと」と「できる条件」を両方伝える 夜間透析・フレックスなど働き方の選択肢を知る 一人で抱えず主治医や支援員と一緒に整理する
できることから一つずつ、自分のペースで取り入れてみてください

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就労支援員として障がいのある方の「働く」に伴走してきた経験をもとに、一人ひとりに向き合う支援を届けています。