起立性調節障害は「子どもの病気」じゃない
起立性調節障害(OD)は、自律神経のバランスが崩れることで、立ち上がったときや朝の時間帯に血圧や心拍がうまく調整できなくなる状態とされています。中学生や高校生の不登校の背景としてよく知られていますが、大人になっても症状が続く人や、成人してからあらためて症状が目立つようになる人もいると言われています。
特徴的なのが「日内変動」と呼ばれるパターンです。朝から午前中にかけて症状が強く出て、午後から夕方にかけて少しずつ体が動くようになる、という波があるとされています。だからこそ「午後は普通に元気そうなのに、朝だけ様子がおかしい」というギャップが、周囲との誤解を生みやすいのだと思います。
「高校の頃からずっと朝がダメだったんですけど、"大人になったら治る"ってよく言われてて。実際は治らないまま就職して、1年目から始業に間に合わないことが続きました。会議で名指しで"社会人としての自覚が足りない"って言われたのは、正直今も忘れられないです。」
受診のきっかけがめまいや失神だったという人も多く、はじめて病院にかかったときに「これは子どもの病気だと思っていた」と驚くケースも報告されています。年齢を重ねてから気づく人も一定数いるということ自体、まだあまり知られていないのかもしれません。
「怠けてる」と誤解されやすい理由
起立性調節障害のつらさは、見た目にわかりにくいという点に尽きます。骨折やギプスのように誰が見てもわかる不調ではないので、「本当に体調が悪いの?」と疑われやすい。しかも症状のピークが午前中で、午後には持ち直すことが多いため、「サボっているように見える時間帯と、実際につらい時間帯がずれてしまう」というのが、この不調特有のややこしさだと感じます。
「めまいで倒れそうになって初めて病院行ったのが32歳の時です。子どもの病気だと思ってたから、まさか自分がって感じで。始業を1時間ずらしてもらう交渉に3ヶ月かかりました。人事に"前例がないので"って何度も言われて、正直心が折れかけましたね。今はなんとか通ってますけど。」
遅刻が続く、始業からしばらくパフォーマンスが上がらない。それが評価に直結してしまうと、本人は「頑張っているのに認めてもらえない」という孤立感を抱えやすくなります。周囲の理解が得られないまま我慢を重ねた結果、二次的に気分の落ち込みが強くなってしまうケースもあるようです。
自分でできる工夫と、職場に相談できること
起立性調節障害は「治療すれば一瞬で治る」というものではなく、日々の工夫と体調管理を積み重ねていくタイプの不調とされています。ここでは、よく紹介される工夫と、職場に相談できることを分けて整理してみます。
生活のなかでできる工夫(一例)
- 起き上がるときは一気にではなく、いったん座ってからゆっくり立つ
- 水分・塩分を意識してとる(医師から具体的な指示がある場合はそれに従う)
- 着圧ソックスなどで下半身への血液のたまりを軽減する
- 朝の光をできるだけ浴びて、体内時計を整えるよう心がける
職場に相談できることの例
- 始業時間を1〜2時間ずらすフレックスタイムや時差出勤
- 午前中だけリモートワークにする、体調が整ってから出社する
- 症状が強い日は半休や時間単位の休暇を使える仕組みにする
- 「病名」より「午前中に体調が不安定になりやすい」という状況ベースで伝える
受診の目安と、手帳・制度の考え方
「これって病院に行くほどのことなのか」と迷う人も多いようです。目安のひとつとして、朝起きられない状態が長期間続いている、立ち上がるとめまいや動悸が強く出る、といった症状が生活や仕事に支障をきたしている場合は、一度医療機関に相談してみる価値があるとされています。
障害者手帳の対象になるかどうかは、症状の程度や他の診断名の有無によって大きく変わるとされ、一律には言えません。起立性調節障害単体で手帳の対象になるケースは限定的とされていますが、体調の波によって仕事の継続が難しい場合は、主治医や自治体の窓口、就労支援機関に相談しながら、自分に合った働き方の選択肢を一緒に整理していくことをお勧めします。
よくある質問
「朝がつらい」を、ひとりで抱えなくていい
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