精神障害 / 就労支援の実際

精神障害のある方が「働けた」瞬間——就労支援で変わったこと、変わらなかったこと

おのざる(mimemime)2026年6月読了目安:12〜16分
ひとり静かに考える人のイメージ、心を整える時間

目次

  1. 「働けた」は、どんな状態のことを言うのか
  2. 就労支援を経て変わったこと・変わらなかったこと
  3. 続けるために、支援との関わりをどう保つか
「また働けるとは思っていなかった」——精神障害のある方から、こういう言葉を聞くことがあります。発症から時間が経ち、自信を失い、どこから手をつければいいかも分からなくなっている。そんな状態から、少しずつ「また働ける」という感覚を取り戻していった方たちの声をもとに、就労支援で何が変わり、何が変わらなかったのかを整理します。これは「就労支援があれば絶対に大丈夫」という話ではありません。現実を正直に書きたいと思います(2026年6月時点の情報です)。

「働けた」は、どんな状態のことを言うのか

精神障害のある方にとって「働けた」という状態は、一般的な就職のイメージとは異なることがあります。週5日・フルタイムで働くことが「働けた」の唯一の形ではなく、週数日の短時間から始めること、在宅ワークや障害者雇用枠での雇用、就労継続支援での活動など、さまざまな形があります。

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ひとりで向き合う人のイメージ、メンタルヘルス
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重要なのは、「今の自分に合っている」かどうかです。無理をして体調を崩し、また離職するサイクルを繰り返すよりも、長続きできる形で仕事に関わることの方が、多くの場合に本人の生活を安定させます。

「働ける」の形はひとつじゃない 障害者雇用 週5・短時間など 在宅ワーク 場所を選ばず 就労継続支援 B型・A型など ボランティア・ 社会参加 まずつながる
自分に合う「働く形」は、人によって、また時期によっても変わる

就労支援を経て変わったこと・変わらなかったこと

就労支援を利用した方から聞こえてくる「変わったこと」として、特に多いのは次のようなことです。

変わったこと——生活リズムと「言語化」

就労移行支援などのプログラムに通い始めることで、生活リズムが整い始めたという声は多くあります。症状のせいで昼夜が逆転していた方が、「週3日・午前中だけ通う」という形から始めて、少しずつリズムを戻していく、というプロセスはよく見られます。

もう一つは「言語化」です。自分がどんなときに調子を崩すか、どんな環境だと働きやすいか、こういったことを支援員と一緒に整理する中で、採用面接でも伝えられるようになる。「自分のことを説明できる」という感覚は、自信の回復にもつながります。

「就労支援に通う前は、自分が何に困っているのかも言葉にできなかった。担当の支援員さんと話を続ける中で、『騒がしい環境だと集中できない』『急な予定変更がつらい』というのが自分の特性だと分かってきた。面接でそれを言えるようになったのが、大きかった。」

30代・女性(双極性障害・就労中)

変わらなかったこと——症状と、疲れやすさ

就職したからといって、精神障害の症状がなくなるわけではありません。調子の波は続き、体調が崩れれば仕事に影響が出ることもあります。これは「就労に失敗した」ということではなく、精神障害と付き合いながら働くということの現実です。就職後も定着支援を利用し続けること、職場に正直に状態を共有できる関係を作ることが、長く働く上での支えになります。

就労支援の種類(就労移行支援・就労継続支援A型・B型・就労定着支援など)やその利用条件は、自治体や事業所により異なります。最新の制度・利用可否については、2026年6月時点の最新情報を相談窓口でご確認ください。

続けるために、支援との関わりをどう保つか

就職がゴールではなく、続けることが本当のゴールです。そのために、就職後も支援との関係を切らないことが重要になります。就労定着支援は、入社後一定期間まで定期的に状況を確認・調整するサポートです。支援員に「問題が起きたら連絡する」のではなく、定期的に現状を共有することで、問題が大きくなる前に対処しやすくなります。

「働き続けること」は、我慢し続けることとは違います。支援や職場との関係を活用しながら、長く安心して働ける形を作っていくことが、就労支援の本当の目的です。

よくある質問

Q. 精神障害があっても、就労支援を使えば必ず就職できますか?
就労支援は就職を保証するものではありませんが、一人では気づけなかった「自分に合う働き方」を見つける助けになることが多いです。支援の中身や期間も人によって異なります。
Q. 就職できても、続けられるか不安です
定着支援という、入社後も継続してサポートを受けられる仕組みがあります。就職がゴールではなく、続けられる環境を整えることも支援の一部です。
Q. 就労支援に通うだけで何か変わりますか?
生活リズムが整う、自分の特性を言語化できるようになる、支援者や仲間ができるなど、就職前の段階でも変化を感じる方は多いです。
Q. どんな仕事なら精神障害があっても続けやすいですか?
「この職種なら大丈夫」という一般的な正解はなく、個人の特性・体調・職場環境の組み合わせで大きく変わります。支援者と一緒に、自分の傾向を整理するところから始めるのが一般的です。

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おのざる(mimemime)
就労支援員として障がいのある方の「働く」に伴走してきた経験をもとに、一人ひとりに向き合う支援を届けています。