「働けた」は、どんな状態のことを言うのか
精神障害のある方にとって「働けた」という状態は、一般的な就職のイメージとは異なることがあります。週5日・フルタイムで働くことが「働けた」の唯一の形ではなく、週数日の短時間から始めること、在宅ワークや障害者雇用枠での雇用、就労継続支援での活動など、さまざまな形があります。
重要なのは、「今の自分に合っている」かどうかです。無理をして体調を崩し、また離職するサイクルを繰り返すよりも、長続きできる形で仕事に関わることの方が、多くの場合に本人の生活を安定させます。
就労支援を経て変わったこと・変わらなかったこと
就労支援を利用した方から聞こえてくる「変わったこと」として、特に多いのは次のようなことです。
変わったこと——生活リズムと「言語化」
就労移行支援などのプログラムに通い始めることで、生活リズムが整い始めたという声は多くあります。症状のせいで昼夜が逆転していた方が、「週3日・午前中だけ通う」という形から始めて、少しずつリズムを戻していく、というプロセスはよく見られます。
もう一つは「言語化」です。自分がどんなときに調子を崩すか、どんな環境だと働きやすいか、こういったことを支援員と一緒に整理する中で、採用面接でも伝えられるようになる。「自分のことを説明できる」という感覚は、自信の回復にもつながります。
「就労支援に通う前は、自分が何に困っているのかも言葉にできなかった。担当の支援員さんと話を続ける中で、『騒がしい環境だと集中できない』『急な予定変更がつらい』というのが自分の特性だと分かってきた。面接でそれを言えるようになったのが、大きかった。」
変わらなかったこと——症状と、疲れやすさ
就職したからといって、精神障害の症状がなくなるわけではありません。調子の波は続き、体調が崩れれば仕事に影響が出ることもあります。これは「就労に失敗した」ということではなく、精神障害と付き合いながら働くということの現実です。就職後も定着支援を利用し続けること、職場に正直に状態を共有できる関係を作ることが、長く働く上での支えになります。
続けるために、支援との関わりをどう保つか
就職がゴールではなく、続けることが本当のゴールです。そのために、就職後も支援との関係を切らないことが重要になります。就労定着支援は、入社後一定期間まで定期的に状況を確認・調整するサポートです。支援員に「問題が起きたら連絡する」のではなく、定期的に現状を共有することで、問題が大きくなる前に対処しやすくなります。
- 就職後も支援員との定期的な連絡を続ける
- 調子の変化を職場と支援員の両方に共有する仕組みを作る
- 「休むこと」を自分で判断できる基準を持っておく
- 一人で抱え込んで限界まで続けようとしない