障がい種別 / 内部障害(糖尿病)

「震えてるの、寒さのせいじゃない」糖尿病の低血糖と、会議中に言い出せない気まずさとの向き合い方

おのざる(mimemime)2026年7月読了目安:12〜14分
糖尿病と低血糖、会議中に言い出せない気まずさをテーマにしたアイキャッチ画像。会議室で額に手を当て、辛そうな表情で俯く人物のイラスト

目次

  1. 会議中に手が震えてきた、その瞬間の気まずさ
  2. 低血糖のサインは、傍目には「なんとなく元気がない」にしか見えない
  3. 職場にどう伝える、インスリンや血糖測定のタイミングの工夫
  4. 使える制度と、一人で抱えないための相談先
糖尿病の血糖コントロール中は、会議や作業に集中しているときほど低血糖のサインに気づきにくく、手の震えや冷や汗が出ても「今、これを言ったら空気を壊す」と黙って我慢してしまう場面があります。この記事では、糖尿病のある方が仕事の中で抱えやすい「会議中に言い出せない気まずさ」と、インスリン注射・血糖測定のタイミング、職場への伝え方、使える制度を当事者の声をもとに整理しました(2026年7月時点の情報です)。

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会議室のテーブルで、額に手を当てて辛そうな表情をしている人物のイラスト。テーブルには水の入ったコップと小さな飴玉が置かれている
頭では分かっているのに、その場で「今、低血糖です」の一言が出てこない

会議中に手が震えてきた、その瞬間の気まずさ

低血糖は、血糖値が急に下がることで起きる体からのサインです。震え・冷や汗・動悸などが出やすいとされていますが、感じ方や現れる症状には個人差があります。ミミ

就労支援の現場で関わってきた中で、糖尿病のある方から何度も聞いてきた場面があります。会議の真っ最中、資料に集中しているつもりが、ふと手元のペンが小刻みに震えていることに気づく。額にじわっと汗をかき、視界がぼんやりする。頭のどこかで「あ、これ低血糖だ」と分かっているのに、その場で「すみません、低血糖なので少し失礼します」と言い出せず、つい「大丈夫です」と誤魔化してしまう、というものです。

会議の空気を壊したくない、大袈裟に思われたくない、という気持ちが先に立つのは自然なことだと思います。ただ、その我慢が長引くほど、症状が進んでしまうこともあるとされています。

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低血糖の症状の出方や進み方には個人差があります。この記事で挙げる内容がそのまま当てはまるとは限らないため、体調に不安があるときは自己判断せず主治医に相談することをお勧めします。

「正直言うと、営業先の商談中に手がじわっと震えてきて、頭の中で『これ絶対低血糖だ』って分かってるのに、『すみません、ちょっと喉が渇いて』とか誤魔化してました。診断されて5年目なんですが、いまだに『糖尿病なんで』って言うタイミングが掴めなくて。あの時は結局、お手洗いに立ってポケットのラムネを3粒くらい一気に食べて、何とか商談に戻りました。」

40代・男性(2型糖尿病・インスリン療法・営業職)
相談の一コマ
相談者のアイコン
相談者
会議中に手の震えが止まらなくなって、「これ低血糖だ」って分かってるのに、その場で言い出せなくて。
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ミミ
低血糖のサインが出ているときは、体がブドウ糖を必要としているサインなんです。我慢するより先に糖分を摂る方が、回復が早いとされていますよ。
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相談者
でも、会議の空気を壊したくなくて、つい黙って耐えちゃうんです。
ミミのアイコン
ミミ
その気持ち、すごく分かります。でも「少し失礼します」の一言だけでも準備しておくと、実際にその場面が来たときにずっと動きやすくなりますよ。次の章で具体的な伝え方を一緒に見ていきましょう。

低血糖のサインは、傍目には「なんとなく元気がない」にしか見えない

厄介なのは、低血糖の震えや冷や汗は、周りから見るとただの緊張や疲れにしか見えないという点です。「今日ちょっと顔色悪いね」「緊張してる?」と声をかけられても、まさか血糖値の話だとは思われず、本人も毎回説明するのが面倒で「大丈夫です、平気です」で流してしまいがちです。

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低血糖のサインの現れ方には個人差があり、震えや冷や汗が出にくいタイプの方もいるとされています。自分のサインのパターンを把握しておくことも、対処の助けになる場合があります。
サインに気づいた瞬間、その先の3つの分かれ道 会議中、手の震え・冷や汗に 気づいた瞬間 黙って我慢する 集中力が落ち、 症状が悪化することも 回復までに時間がかかりやすい 中座して 糖分を摂る 数分で回復し、 会議に戻れることが多い 回復の実感が持てるという声も 事前に周囲に 伝えておく いざという時に 理解を得やすい 中座も切り出しやすくなる 「黙って我慢する」より、糖分を摂る・事前に伝えるを選べる場面を増やしていく ※症状の感じ方・対処の適否には個人差があります。主治医と相談の上で判断してください
我慢の道を選ばずに済む分かれ道を、あらかじめ増やしておく

この「見た目にはただの体調不良」という認識のずれが、本人にとっては地味にしんどいポイントです。何度も同じ説明をするのは疲れるので、結局黙って耐える方を選び続けてしまう、という悪循環に陥りやすいのだと思います。

「小学生の頃からずっとこの病気なので、正直もう扱いには慣れてるはずなんですけど、職場では別なんです。会議中にペン先が定まらないくらい手が震えても、周りは『あの人今日ちょっと元気ないな』くらいにしか思ってないはずです。血糖測定も、トイレの個室でこっそりやってます。同期にも言ってないので、もし気づかれたらどうしようって、いつもどこかで思ってます。」

20代・女性(1型糖尿病・事務職)

職場にどう伝える、インスリンや血糖測定のタイミングの工夫

低血糖そのものへの対処と同じくらい悩みの種になりやすいのが、インスリン注射や血糖測定を職場のどこで、いつ行うかという問題です。昼休みが短くて食事の前に落ち着いて測定できない、周りの目が気になって個室に駆け込んでしまう、といった声をよく聞きます。

事前に伝えておくと動きやすいこと

インスリン注射や血糖測定のタイミングをあらかじめ伝えておくと、会議中に慌てて中座する場面を減らせることがあります。症状の詳細まで全部説明する必要はなく、必要な範囲で大丈夫です。ミミ

病名や治療の詳細まですべて伝える義務はありません。信頼できる上司や人事担当者に、業務に関わる範囲でまず共有し、必要であればそこからチーム内に伝える範囲を広げてもらう、という進め方をとっている方もいます。合理的配慮として、休憩室の利用や急な離席への理解を職場に相談することも選択肢の一つです。

使える制度と、一人で抱えないための相談先

身体障害者手帳という選択肢

糖尿病そのものは身体障害者手帳の対象にならないことが多いとされていますが、合併症により視覚や腎機能などに一定の障害が生じた場合は、内部障害や視覚障害の区分で手帳の対象になり得るとされています。詳しくは主治医や自治体の障害福祉窓口に確認するのが確実です(2026年7月時点の情報です)。

相談できる窓口

低血糖の症状の現れ方や、必要な対応の内容には個人差があります。この記事の内容がそのまま当てはまるとは限らないため、実際の判断は主治医・支援者・自治体の窓口とよく相談しながら進めることをお勧めします(2026年7月時点の情報です)。
「今、低血糖です」の一言は、決して大袈裟なお願いではありません。その一言を準備しておくことが、次に同じ場面が来たときのあなたを助けてくれます。

よくある質問

Q. 低血糖になるとどんな症状が出ますか?
手の震え、冷や汗、動悸、集中力の低下などが起きやすいとされていますが、感じ方や現れやすい症状には個人差があります。いつもと違う体調変化を感じたときは、我慢せず主治医に相談することをお勧めします(2026年7月時点の情報です)。
Q. 会議中に低血糖のサインが出たら、どうすればいいですか?
我慢を続けるより、早めに糖分を摂る方が回復が早いとされています。「少し失礼します」と一言伝えて中座する、あらかじめブドウ糖などを手元に用意しておくといった工夫が助けになる場合があります。
Q. 糖尿病であることを職場に伝えるべきですか?
必ず伝えなければならないという決まりはありません。ただし低血糖が起きたときに周囲の理解があると対応しやすくなる場合があるため、業務に関わる範囲で必要な相手にだけ伝えるという考え方もあります。
Q. 血糖測定やインスリン注射は職場のどこで行えばいいですか?
決まったルールはありませんが、会議室の空き時間や休憩室、個室スペースなどを事前に確認しておくと落ち着いて行いやすいとされています。上司や人事にあらかじめ相談しておくと、場所の確保がしやすくなる場合があります。
Q. 糖尿病は障害者手帳の対象になりますか?
糖尿病そのものでは対象にならないことが多いですが、合併症により視覚や腎機能などに一定の障害が生じた場合は、身体障害者手帳の対象になり得るとされています。詳しくは主治医や自治体の障害福祉窓口にご確認ください(2026年7月時点の情報です)。
低血糖と会議中の気まずさに向き合う:この記事のポイント 1 低血糖のサインは体からの合図 震え・冷や汗など、現れ方には個人差がある 2 傍目には「なんとなく元気がない」にしか見えない 見た目とのギャップが、伝えにくさにつながっている 3 我慢するより先に糖分を摂る方が回復が早い 「少し失礼します」の一言を準備しておく 4 職場には必要な場面だけ伝えれば十分 注射や測定のタイミングを事前に共有すると動きやすい 5 産業医や支援機関など、頼れる制度がある 一人で抱え込まず主治医・支援者と状況を共有する
この5点を頭に置いておくだけで、少し気持ちが軽くなるかもしれません

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おのざる
mimemime代表。就労支援の現場経験をもとに、障がいのある方の働く不安に寄り添う記事を執筆。