心身の状態 / 睡眠関連疾患(過眠症・ナルコレプシー)

仕事中に急に眠ってしまう。「怠けてる」と言われるのがつらい人へ

おのざる(mimemime)2026年7月読了目安:11〜13分
仕事中に眠ってしまうことをテーマにしたアイキャッチ画像。デスクで居眠りしてしまう女性のイラストと『仕事中に眠ってしまう。それは「甘え」じゃないかもしれない』というタイトル文字

目次

  1. 「また寝てたの?」その一言が、一番きつい
  2. 「甘え」でも「気合」でもなく、脳の中で起きていること
  3. 職場にどう伝える、伝えたあとに待っている変化
  4. 診断までの迷いと、頼れる制度・相談先
大事な会議中や商談中に、気づいたら数秒〜数分眠ってしまっている。本人はもちろん、それを「だらしない」「やる気がない」と誤解されたくてそうしているわけではありません。十分な睡眠をとっているのに日中どうしても耐えられない眠気に襲われる状態は、ナルコレプシーをはじめとする過眠症という睡眠の病気である可能性があります。この記事では、仕事中の眠気に悩む方が抱えやすい「甘えだと思われるつらさ」と、職場への伝え方、頼れる制度を当事者の声をもとに整理しました(2026年7月時点の情報です)。

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manaby 就労移行支援 障がい者雇用
オフィスのデスクで腕を組んでその上に頭を乗せ、居眠りしてしまっている女性のイラスト。後ろの椅子から同僚が心配そうにそっと様子をうかがっている
気づいたら、また眠ってしまっていた

「また寝てたの?」その一言が、一番きつい

十分に眠っているはずなのに、日中どうしても耐えがたい眠気に襲われる。それは気持ちの持ちようではなく、脳の中の覚醒を保つ仕組みに関わる症状のことがあります。ミミ

就労支援の現場で話を聞いていると、仕事中に眠ってしまうことに悩んでいる方は、実はそれなりにいます。ただ、そのしんどさが周囲にほとんど伝わっていないケースが多いという印象があります。「昨日ちゃんと寝た?」「また寝てたの?」という軽い一言のつもりの指摘が、本人にとっては何度も同じ説明を求められているようで、じわじわ削られていく感覚になるようです。

ナルコレプシーは、日本人ではおよそ600人に1人程度とされ、世界平均より高い有病率が指摘されている睡眠の病気です。代表的な症状は、場所や状況を問わず訪れる強い眠気で、会議中、商談中、食事中など、本人が最も眠ってはいけないと分かっている場面でこそ発症しやすいという厄介な特徴があります。「気合が足りない」のではなく、「気合ではどうにもならない」というのが実際に近いようです。

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ナルコレプシーや過眠症の症状の現れ方には個人差があります。この記事の内容がそのまま当てはまるとは限らないため、心当たりがある場合は自己判断せず、睡眠を専門とする医療機関に相談することをお勧めします。

「新卒で入った会社の朝礼中、立ったまま寝落ちしたことがあって、後ろにいた先輩に肩を叩かれて起きたんです。完全に社会人失格みたいな空気になって、それから半年くらい『また寝てるよ、あいつ』って陰で言われてるのを知ってて、出社するのがめちゃくちゃ憂鬱でした。正直、自分でも『なんでこんな大事な場面で寝るんだよ』って毎回自分にキレてました。病院に行こうと思うまで、結局1年近くかかりました。」

20代・男性(ナルコレプシー・営業職)

「私の場合は特発性過眠症というやつで、ナルコレプシーとはちょっと違うらしいんですけど、症状は似たようなものです。会議の議事録係を任されたときに、気づいたらノートパソコンの前で船を漕いでいて、あとで同僚に『寝ながらでもタイピングしてたの面白かった』って笑い話にされたことがあります。笑ってもらえたのは正直救われたんですけど、上司には『やる気の問題では』って真顔で言われて、その温度差にどう反応していいか分からなくなりました。」

40代・女性(特発性過眠症・事務職)

「甘え」でも「気合」でもなく、脳の中で起きていること

ナルコレプシーの原因ははっきりと解明されているわけではありませんが、近年の研究では、脳内で覚醒状態を保つ働きを持つオレキシンという物質の分泌量が低下していることが関わっていると考えられています。オレキシンを作る細胞の働きが弱まることで、本来なら起きていられるはずの場面でも、脳が眠りに引き込まれやすくなるとされています。

つまり、意志の力や集中力の問題というより、体の中の仕組みの問題である可能性が高いということです。ただ、この病気自体の認知度がまだ高くないため、職場では「サボり癖」「体調管理ができていない」という評価につながりやすく、本人がいくら「病気なんです」と言葉で説明しても、なかなか実感として理解されないという壁があります。

「甘え」と「病気」、天秤にかけると 気合が足りない?甘え? 周囲からのよくある誤解 オレキシンの低下による 睡眠の病気 近年の研究でわかってきた事実
「気合が足りない」ではなく「脳の仕組みの問題」であることが、少しずつ分かってきている

とはいえ、この天秤が世の中全体で自然に医学的事実の側に傾いてくれるのを待つのは現実的ではありません。次の章では、実際に職場でどう伝えていくかを考えてみます。

相談の一コマ
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相談者
会議中に寝てしまうことが何度もあって、正直「自分はダメな人間だ」って思ってしまいます。周りにどう説明すればいいのか分からなくて。
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ミミ
まず知っておいてほしいのは、それはあなたの人間性の問題ではなく、脳の中の仕組みに関わる症状の可能性があるということです。自分を責める前に、一度睡眠の専門医に相談してみませんか。
相談者のアイコン
相談者
病院に行くほどのことなのか、正直まだ迷っています。ただの寝不足かもしれないし…
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ミミ
その迷い自体、とてもよくあることです。判断がつかないときこそ、専門家に話してみる価値があります。次の章で、伝え方や相談先を一緒に整理していきましょう。

職場にどう伝える、伝えたあとに待っている変化

ナルコレプシーや過眠症は、まだ職場での認知度が高いとは言えません。だからこそ、いきなり症状を詳しく説明するより、業務にどう影響するか、何をしてもらえると助かるかという具体的な形で伝える方が、相手にも受け取りやすいとされています。

伝えるときに意識したいこと

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症状の詳しい内容まですべて説明する義務はありません。まずは信頼できる上司や人事担当者に、業務に関わる範囲で共有するところから始めても大丈夫です。
伝えたからといって、すぐに全員の理解が得られるとは限りません。それでも、何も伝えないまま孤立して抱え込むより、味方を一人ずつ増やしていく方が、長い目で見ると働きやすくなることが多いようです。ミミ

実際に伝えたあと、どう変わったのかは人それぞれです。すぐに配慮を得られる人もいれば、時間がかかる人、残念ながらあまり変わらない職場もあるようです。それでも、伝えたこと自体を後悔している方は少ない印象があります。

「診断書を持って上司に相談したとき、正直『病気だから仕方ないよね』で流されて終わるかと思ってたんですけど、意外と『午後の会議、寝落ちしやすい時間だよね、資料係じゃなくて聞く専門でいてもらう?』って役割を調整してくれたんです。3ヶ月くらい経った今も完全に眠気がなくなったわけじゃないですけど、責められる感じがなくなっただけで、だいぶ気持ちが楽になりました。」

30代・女性(ナルコレプシー・企画職)

診断までの迷いと、頼れる制度・相談先

「これって病気なのか、それとも自分の生活習慣の問題なのか」という迷いは、多くの方が通る道のようです。単なる寝不足との違いを自分で判断するのは難しく、受診をためらっているうちに数ヶ月、数年と時間が経ってしまうケースも珍しくありません。

受診の目安になりやすいサイン

これらに心当たりがある場合は、睡眠を専門とする医療機関や、睡眠外来を設けている病院への相談が一つの選択肢です。診断には、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査などが用いられることが一般的とされています。

使える可能性がある制度

症状の程度や日常生活への影響によっては、精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合があるとされています。該当するかどうかは個人差が大きいため、詳しくは主治医や自治体の障害福祉窓口にご確認ください(2026年7月時点の情報です)。手帳の取得は必須ではありませんが、障害者雇用枠での就職や、企業側の合理的配慮を前提にした働き方を選びやすくなる場合があります。

ナルコレプシー・過眠症の症状の現れ方や、必要な配慮の内容には個人差があります。この記事の内容がそのまま当てはまるとは限らないため、実際の判断は主治医・支援者・自治体の窓口とよく相談しながら進めることをお勧めします(2026年7月時点の情報です)。
仕事中に眠ってしまうことを、意志の弱さのせいにして自分を責め続けなくて大丈夫です。まずは「病気かもしれない」という可能性を、自分自身が否定しないところから始めてみてください。

よくある質問

Q. ナルコレプシーの診断はどうやって受けられますか?
睡眠専門の医療機関で、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査などを受けて診断されることが一般的とされています。まずはかかりつけ医や睡眠外来のある医療機関に相談することをお勧めします(2026年7月時点の情報です)。
Q. 「甘え」ではなく病気だと、どう証明すればいいですか?
自己申告だけでは伝わりにくい場合、医師の診断書があると職場の理解を得やすくなるとされています。診断がつく前の段階でも、眠気の記録をメモしておくと受診時に役立つことがあります。
Q. 仕事中の眠気に、その場でできる対策はありますか?
短時間の仮眠(10〜20分程度)が有効な場合があるとされています。休憩時間の使い方について職場と相談しておくと、急な眠気のときにも対応しやすくなります。ただし効果には個人差があるため、主治医に相談しながら自分に合う方法を探すことをお勧めします。
Q. 障害者手帳や制度は使えますか?
症状の程度や日常生活への影響によっては、精神障害者保健福祉手帳の対象になる場合があるとされています。該当するかどうかは個人差が大きいため、主治医や自治体の障害福祉窓口に確認することをお勧めします(2026年7月時点の情報です)。
Q. 転職を考えたほうがいいのでしょうか?
必ずしも転職が必要というわけではありません。まずは今の職場で配慮を求められないか相談してみることも選択肢の一つです。それが難しい場合は、休憩や勤務時間に融通が利きやすい仕事への転職を検討する方もいます。
仕事中の眠気と付き合う:この記事のポイント 1 眠ってしまうのは意志の弱さではないことがある オレキシンの低下など、脳の仕組みが関わっている可能性がある 2 「甘え」と誤解されやすいからこそ伝え方が大事 症状より「どんな場面で何をしてほしいか」を具体的に 3 伝えたあとの変化は人それぞれでいい すぐに理解されなくても、伝えたこと自体は無駄にならない 4 迷ったら、まず睡眠の専門医に相談していい 「病院に行くほどか」と迷う段階でも相談する価値がある 5 頼れる制度と相談先がある 産業医、障害福祉窓口、就労移行支援など一人で抱えなくていい
この5点を頭に置いておくだけで、少し気持ちが軽くなるかもしれません

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おのざる
mimemime代表。就労支援の現場経験をもとに、障がいのある方の働く不安に寄り添う記事を執筆。