発達・感覚特性 / 感覚過敏(ASD・ADHD・HSP等)

「気にしすぎ」と言われるけれど。感覚過敏と仕事、音・光・匂いに疲れてしまう毎日との付き合い方

おのざる(mimemime)2026年7月読了目安:11〜13分
感覚過敏と仕事をテーマにしたアイキャッチ画像。オフィスで片耳を軽く手で覆い、周囲の音や光に疲れた表情を浮かべる人物のイラスト

目次

  1. 「気にしすぎ」のその感覚、感覚過敏かもしれません
  2. オフィスに潜む、人によって違う「負荷ポイント」
  3. 「わがまま」だと思われないための伝え方
  4. 使える対策グッズと、頼れる相談先
オフィスの蛍光灯がまぶしい、コピー機やキーボードの音が気になって集中できない、隣の席の香水や柔軟剤の匂いで気分が悪くなる。こうした感覚のつらさは、「気にしすぎ」「神経質」という言葉で片づけられてしまうことが少なくありません。この記事では、感覚過敏と仕事の付き合い方について、当事者の声をもとに、職場への伝え方や使える対策グッズ、相談先を整理しました(2026年7月時点の情報です)。

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笑店グループ 就労継続支援B型 在宅ワーク 京都
オフィスの机で片耳を軽く手で覆い、蛍光灯の光とざわめきに疲れた表情を浮かべている人物のイラスト
特に何も起きていないはずなのに、気づけば疲れ切っている

「気にしすぎ」のその感覚、感覚過敏かもしれません

感覚過敏は、五感から入ってくる刺激を、脳が過剰に受け取ってしまう状態のことです。ASDやADHDのある方に多く見られるとされていますが、それだけが原因とは限りません。まずは「わがままではない」というところから一緒に整理していきましょう。ミミ

就労支援の現場で関わってきた中で、感覚過敏のある方から何度も聞いてきた言葉があります。「気にしすぎだよって、自分でも思うようにしてたんです」というものです。感覚過敏という言葉自体、まだ職場に浸透しているとは言いがたく、蛍光灯がまぶしい、音が気になる、匂いで気分が悪くなるといった訴えは、体調や気分の問題として片づけられてしまいやすいようです。

本人の中では毎日それなりに消耗しているのに、周りからは「そんなに気になる?」「みんな平気だけど」と返されてしまう。この温度差が積み重なると、そのうち相談すること自体をやめてしまう方も少なくありません。

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感覚の感じ方や程度には個人差があります。この記事で挙げる内容がそのまま当てはまるとは限らないため、不安な症状が続く場合は自己判断せず、医療機関に相談することをお勧めします。

「事務職なんですけど、オフィスの蛍光灯がとにかくまぶしくて、夕方には頭痛がしてくるんです。眼科に行っても『特に異常はない』って言われて、じゃあこの辛さは何なんだって、ずっとモヤモヤしてました。ASDの診断がついたのは32歳のときで、そこでやっと感覚過敏っていう言葉を知って、なんだ病気じゃなかったんだ、特性だったんだって、変な言い方ですけど少し安心しました。」

30代・女性(ASD・事務職)

「正直言うと、隣の席の人の柔軟剤の匂いがきつくて、営業から帰ってきて自分の席に座るたびに気持ち悪くなってました。最初の3ヶ月くらいは我慢してたんですけど、ある日トイレで吐きそうになって、さすがにこれはおかしいと思って上司に相談したんです。『そんなの気にしたことなかった』って言われて、正直ちょっと傷つきました。でも席を少し離してもらえただけで、だいぶ楽になりましたね。」

20代・男性(ADHD・営業職)

オフィスに潜む、人によって違う「負荷ポイント」

感覚過敏のやっかいなところは、同じオフィスにいても、負荷を感じる場所が人によってまったく違うという点です。ある人にとっては何でもない給湯室の匂いが、別の人には耐えがたいものだったりします。周りに「ここが辛い」と気づいてもらいにくいのは、そもそも負荷のかかる場所がバラバラだからかもしれません。

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感覚過敏は視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚のいずれか、または複数にまたがって現れるとされています。どの感覚がどの程度過敏かは人によって異なるため、下記はあくまで一例です。
オフィスに潜む、感覚の負荷ポイント(一例) 窓際の席 会議室 デスク島 給湯室 蛍光灯が まぶしい窓際 複数人の声が 重なる会議室 キーボードや 電話音が響く島 洗剤や香りが こもる給湯室 ※負荷を感じる場所や感覚の種類は人によって異なります
同じフロアでも、どこがつらいかは人によって違う

この「負荷ポイントの個人差」が共有されないまま働き続けると、本人は毎日決まった場所で消耗し、周りは何も気づかないまま、という状態が続いてしまいます。

「パートで経理事務してるんですけど、正直これまで発達障害の診断は受けたことがなくて、グレーゾーンなのかなくらいの認識でした。でも給湯室の横の席になってから、洗剤とコーヒーの匂いが混ざったにおいがずっと気になって、集中力が続かなくなったんです。半年くらい我慢して、最終的に体調を崩して2週間休みました。あのとき『ただの匂いくらいで』って自分を責めてたんですけど、今思えばもっと早く言えばよかったです。」

40代・女性(発達障害グレーゾーン・経理パート)

「わがまま」だと思われないための伝え方

「うるさいのが苦手」だけだと好みの問題に聞こえてしまいますが、「集中力が落ちて作業ミスが増える」など、業務への影響として伝えると、理解してもらいやすくなることがあります。ミミ

感覚過敏を伝えるときにぶつかりやすいのが、「好き嫌いの話」として受け取られてしまう問題です。「音が気になる」というだけでは、単なる気分の問題のように聞こえてしまうことがあります。そこで有効とされているのが、症状そのものより、業務への影響に絞って伝えるという考え方です。

具体的な場面に絞って伝えるという考え方

相談の一コマ
相談者のアイコン
相談者
聴覚過敏があって、イヤーマフをつけたいんですけど、職場でそんなの着けてる人いないし、変に思われそうで言い出せなくて。
ミミのアイコン
ミミ
聴覚過敏は発達障害のある方の半数以上がつらいと感じるという調査もあるくらい、決して珍しいものではないんですよ。まずは「電話対応中だけ」など、場面を限定して相談してみるのはどうでしょうか。
相談者のアイコン
相談者
場面を限定する、ですか。たしかにずっとつけっぱなしにしたいわけじゃないので、それなら言いやすいかもしれません。
ミミのアイコン
ミミ
それに、感覚過敏の相談シートを使って書面で伝えている方もいます。口頭で説明しにくいときは、そうした道具を借りるのも一つの方法ですよ。

病名や特性の詳細まで、すべてを開示する必要はありません。信頼できる上司や人事担当者に、業務に関わる範囲でまず共有し、必要な配慮だけをチームに伝えてもらう、という進め方をとっている方もいるようです。

使える対策グッズと、頼れる相談先

感覚別の対策グッズ(一例)

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どの道具が合うかは人によって異なります。一つ試して合わなくても、それは珍しいことではないので、いくつか試しながら自分に合うものを探してみてください。

相談できる窓口

感覚過敏の感じ方や必要な配慮の内容には個人差があります。この記事の内容がそのまま当てはまるとは限らないため、実際の判断は主治医・支援者・自治体の窓口とよく相談しながら進めることをお勧めします(2026年7月時点の情報です)。
「気にしすぎ」という言葉に負けなくていいのです。具体的な場面に絞って伝えることは、わがままではなく、お互いが働きやすくなるための準備です。

よくある質問

Q. 感覚過敏は障害者手帳の対象になりますか?
感覚過敏そのものは病名ではなく特性のひとつとされており、単独で手帳の対象になるとは限りません。ASDや発達障害の診断がある場合には、精神障害者保健福祉手帳の申請につながることがあります。詳しくは主治医や自治体の障害福祉窓口にご確認ください(2026年7月時点の情報です)。
Q. 感覚過敏だと伝えると「わがまま」だと思われませんか?
伝え方によっては誤解されることもありますが、症状の全部を説明するのではなく、業務に関わる具体的な場面に絞って伝える方法が助けになる場合があります。パフォーマンスへの影響として伝えると、理解を得やすいという声もあります。
Q. 感覚過敏の対策グッズにはどんなものがありますか?
聴覚過敏にはイヤーマフや耳栓、視覚過敏には遮光レンズの眼鏡やブルーライトカットフィルム、嗅覚過敏にはマスクなどが使われることがあります。ただし合う道具には個人差があるため、いくつか試しながら自分に合うものを探すことをお勧めします。
Q. 感覚過敏はASD以外の人にも起こりますか?
ASD(自閉スペクトラム症)やADHDのある方に多く見られるとされていますが、HSP気質のある方や、強いストレス・疲労が続いている方にも似た感覚の困りごとが起こることがあります。原因が分からず不安なときは、心療内科や精神科への相談も選択肢のひとつです。
Q. 就職や転職のとき、感覚過敏をどう伝えればいいですか?
面接の段階ですべてを開示する必要はないとされていますが、業務に大きく関わりそうな内容(在宅勤務の希望、座席の配慮など)は早めに伝えておくと、入社後の調整がしやすくなる場合があります。就労移行支援事業所に相談しながら伝え方を整理する方法もあります。
感覚過敏と働く:チェックしておきたい5つのこと 感覚過敏はわがままではなく特性のひとつ ASDやADHDに伴うことが多いが、それだけとは限らない 負荷を感じる場所は人によって違う 同じフロアでも辛い場所・感覚は一人ひとり異なる 業務への影響として伝えると理解されやすい 「好み」ではなく「作業ミスが増える」等の言い方に変える 対策グッズは一つで諦めず色々試してよい イヤーマフや遮光レンズなど、合う道具は人それぞれ 産業医や支援センターなど頼れる窓口がある 一人で抱え込まず、相談しながら働き方を整えていく
この5点を頭に置いておくだけで、少し気持ちが軽くなるかもしれません

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おのざる
mimemime代表。就労支援の現場経験をもとに、障がいのある方の働く不安に寄り添う記事を執筆。