障がい種別 / 発達障害(学習障害・ディスレクシア)

「読むのが遅い」と気づいた日。ディスレクシア(発達性読み書き障害)と仕事、文字を読むことの難しさとの付き合い方

おのざる(mimemime)2026年8月読了目安:12〜14分
毛布にくるまりマグカップを持つ男の子のイラストと共に「読むのが遅い」と気づいた日というタイトルを示したアイキャッチ画像。左上には発達障害/学習障害のオレンジ色のカテゴリータグが添えられている

目次

  1. 「読むのが遅い」と気づいた日、資料や会議でぶつかる壁
  2. なぜ「怠けている」に見えてしまうのか、集中力の波と読み書きの特性
  3. 職場でできる工夫と、伝え方のヒント
  4. 使える制度と、一人で抱えないための相談先
ディスレクシア(発達性読み書き障害)は、知的な発達に遅れがあるわけではなく、文字の読み書きに関する情報処理の一部に特性がある状態とされています。目には見えにくい特性のため、「ちゃんと確認していないだけ」「注意力が足りない」と誤解されてしまうことがあります。この記事では、ディスレクシアの特性を抱えながら働く方が感じやすい職場での困りごとと、伝え方、使える工夫や制度を当事者の声をもとに整理しました(2026年8月時点の情報です)。

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LITALICOワンダー プログラミング教室 発達障害
夕方のオフィスで、ノートパソコンと資料に向き合いながら疲れた表情を浮かべる人物のイラスト。手元には湯気の立つマグカップが置かれ、頭の上に文字が乱れて見えることを示す波打つ線が描かれている
読んでいるつもりなのに、文字がなかなか頭に入ってこない。そんな日がある

「読むのが遅い」と気づいた日、資料や会議でぶつかる壁

mimemimeのマスコットキャラクター「まめざる」のアイコン
ディスレクシアは、知的な発達の遅れがあるわけではなく、文字の読み書きに関わる情報処理の一部に特性がある状態とされています。読むスピードの遅さや、誤字脱字の多さとして現れることが多いようです。まめざる

就労支援の現場で関わってきた中で、繰り返し聞いてきた言葉があります。「会議資料をみんなと同じ時間で読み終えられない」「メールを何度読み返しても、誤字を見落としてしまう」というものです。ディスレクシアのある方にとって、文字を読むことは、多くの人が無意識にできている作業を、一文字ずつ意識的に処理しているような感覚に近いとされています。頭の中では文字が入れ替わって見えたり、行を飛ばして読んでしまったりすることもあるようです。

本人としては、人一倍時間をかけて資料を読み込み、誤字を確認しているつもりでも、それでも見落としが残ってしまうことがあります。周囲からは「確認が甘い」「集中していない」という印象を持たれやすく、本人の努力と、周りに伝わる印象との間にずれが生まれやすくなります。

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ディスレクシアの現れ方には個人差があります。読む速さ、書き間違いの傾向、得意・不得意の範囲は人によって異なるため、この記事の内容がそのまま当てはまるとは限りません。気になる症状がある場合は自己判断せず、医療機関に相談することをお勧めします。

「正直言うと、入社して3年経った今も、メールの誤字脱字はゼロになりません。先輩に見せる前に3回くらい読み返してるつもりなんですけど、それでも『ここ、名前間違ってるよ』って指摘されることが月に2、3回はあって。文字を目で追ってるはずなのに、なぜか頭の中で違う文字に変換されちゃうというか…。最初は『ちゃんと確認してないだけでしょ』って自分を責めてたんですけど、去年病院でディスレクシアの傾向があるかもって言われて、少しだけ自分を許せるようになりました。」

30代・女性(ディスレクシア・事務職)

「会議の前に配られる資料、みんな10分もあれば読み終わってるのに、自分は同じ量を読むのに倍くらい時間がかかるんです。だから会議が始まる頃にはまだ半分しか頭に入ってなくて、質問されても的外れな答えをしちゃったりして。半年前から、資料は前日までにもらえないか頼むようにしたんですけど、それだけでもだいぶ楽になりました。周りには『準備がいいね』って言われるんですけど、本当は追いつくために必死なだけなんですよね。」

20代・男性(ディスレクシア・営業職)
相談の一コマ
相談者のアイコン
相談者
資料を読むのがどうしても遅くて、会議についていけないことが多いんです。集中力が足りないだけなのかなって、ずっと悩んでます。
まめざるのアイコン
まめざる
読むスピードの違いは、集中力の問題だけとは限りません。文字の処理の仕方に特性があって、人より時間がかかりやすいというケースもあるんですよ。
相談者のアイコン
相談者
そうなんですか…。じゃあ、資料を前もってもらうようにお願いするのは、わがままじゃないんでしょうか。
まめざるのアイコン
まめざる
わがままではないと思います。「事前に目を通しておきたいので、前日までにいただけますか」というお願いは、業務がスムーズに進むための工夫として、十分伝えられる内容だと思いますよ。

なぜ「怠けている」に見えてしまうのか、集中力の波と読み書きの特性

ディスレクシアのある方は、文字を読む作業そのものに多くのエネルギーを使うため、読み書きが中心の時間帯に集中力が大きく落ち込みやすいとされています。一方で、会話や電話対応のように声でのやり取りが中心の場面では、負担が軽くなる方も多いようです。この「得意・不得意の波」が、周囲からは分かりにくいことが、誤解を生む一因になっているのかもしれません。

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ディスレクシアの特性がある方の中には、三次元的な空間把握や、耳で聞いた情報の理解、発想力といった面で強みを発揮する方もいるとされています。読み書き以外の場面での得意・不得意もあわせて見てもらえると、働き方の選択肢が広がりやすくなるかもしれません。
働く1日の中で、集中力がどう変化するか(一例) 読み書き中心の時間帯 会話・電話中心の時間帯 9:00 10:30 12:00 13:30 15:00 16:30 18:00 長文メール確認 会議資料の読み込み 報告書の誤字確認 電話対応 立ち話・雑談
読み書きが必要な時間帯ほど、見えない疲労がたまりやすい

つまり「やる気がない時間帯」があるわけではなく、「読み書きに多くのエネルギーを使う時間帯」があると捉えると、少し見え方が変わってくるかもしれません。ディスレクシアについては、原因や特性の現れ方についてまとめている資料も増えてきています。たとえばLITALICOライフの解説記事では、症状や工夫・対処法について紹介されています。気になる方は参考にしてみてください。

職場でできる工夫と、伝え方のヒント

mimemimeのマスコットキャラクター「まめざる」のアイコン
読み書きの特性は、工夫次第で負担が軽くなる場合があります。すべてを自力でカバーしようとせず、道具や周りの協力を借りるという考え方も選択肢の一つです。まめざる

職場でよく使われている工夫には、次のようなものがあるとされています。合う・合わないは人によって異なるため、いくつか試しながら自分に合う方法を探っていく形になることが多いようです。

具体的な場面に絞って伝えるという考え方

特性の仕組みや診断名をすべて説明しようとすると、かえって伝わりにくくなることがあります。業務に関わる具体的な場面だけに絞って伝える方法が、双方にとって負担が少ないとされています。

診断名や特性の詳細まで伝える義務はありません。信頼できる上司や人事担当者に、業務に関わる範囲でまず共有し、そこから必要な情報だけをチーム内に広げてもらう、という進め方をとっている方もいるようです。

使える制度と、一人で抱えないための相談先

精神障害者保健福祉手帳という選択肢

ディスレクシアを含む学習障害は、状態によって精神障害者保健福祉手帳の対象となる場合があります。取得の可否は医師の診断や、日常生活・就労への影響の程度によって異なるため、詳しくは主治医や自治体の障害福祉窓口に確認するのが確実です(2026年8月時点の情報です)。手帳を取得すると、障害者雇用枠での就職や、企業側の合理的配慮を前提にした働き方を選びやすくなる場合があります。

発達障害者支援センターという窓口

発達障害者支援センターでは、読み書きの特性を含む発達障害に関する相談を受け付けています。就労に関する悩みだけでなく、日常生活の困りごとについても相談できる場合があるとされています。お住まいの地域のセンターは、自治体のホームページなどで確認できます(2026年8月時点の情報です)。

相談できる窓口

ディスレクシアの現れ方や、必要な配慮の内容には個人差があります。この記事の内容がそのまま当てはまるとは限らないため、実際の判断は主治医・支援者・自治体の窓口とよく相談しながら進めることをお勧めします(2026年8月時点の情報です)。
読むのが遅いのは、怠けているからではありません。時間をかけて丁寧に読んでいる証拠でもあります。工夫を取り入れながら、自分に合った読み書きとの付き合い方を探っていくことができます。

よくある質問

Q. ディスレクシアは大人になってから気づくこともありますか?
子どもの頃は大きな問題として気づかれず、社会人になって資料を読む量や誤字脱字への指摘が増えたことをきっかけに、自分の特性に気づく方もいるとされています。気になる場合は医療機関や発達障害者支援センターに相談してみることをお勧めします。
Q. 会議資料を事前に読ませてもらうよう頼むのは非常識でしょうか?
業務をスムーズに進めるための具体的なお願いとして伝えれば、非常識にはあたらないと考えられます。「事前に目を通しておきたいので」という理由を添えて伝える方法が助けになる場合があります。
Q. ディスレクシアがあっても事務職や営業職はできますか?
読み書きに時間がかかる特性があっても、音声読み上げソフトの活用や資料の事前共有といった工夫を取り入れながら働いている方は多くいるとされています。向いている業務や必要な配慮は人によって異なるため、支援機関に相談しながら探っていく方法もあります。
Q. ディスレクシアがあると障害者手帳は取得できますか?
ディスレクシアを含む学習障害は、状態によって精神障害者保健福祉手帳の対象となる場合があります。取得の可否は医師の診断や日常生活・就労への影響の程度によって異なるため、詳しくは主治医や自治体の障害福祉窓口にご確認ください(2026年8月時点の情報です)。
Q. 会社にはどこまで伝えればいいですか?
診断名や特性の詳細をすべて伝える必要はないとされています。「資料は事前にいただけると助かります」「音声で確認できると読み間違いが減ります」など、業務に関わる具体的な配慮に絞って伝える方法が、双方にとって負担が少ないとされています。
この記事のポイント、4つの目印をたどる道のり 1 特性に気づく 2 工夫を試す 3 職場に伝える 4 相談先を頼る 一人で抱え込まず、少しずつ自分に合った働き方を見つけていく道のり
気づく、試す、伝える、頼る。一歩ずつ進んでいけば大丈夫

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おのざる
mimemime代表。就労支援の現場経験をもとに、障がいのある方の働く不安に寄り添う記事を執筆。