自己否定の3つの根っこ
「自分がダメだ」という気持ちは、たいてい1つの原因から来ているわけではありません。大きく3つの方向から生まれることが多いです。
1. 過去の経験の積み重ね:子どもの頃から「できない」「おかしい」「なぜ普通にできないの」と言われ続けた経験、失敗・挫折の繰り返し、ハラスメントなど。繰り返された否定的な言葉が内側に定着します。
2. 「普通」との比較による評価:「みんなは普通にできているのに自分だけできない」という比較。特にADHD・ASD・うつなどの特性があると、一般的な基準が合わない場面が多くなります。
3. 症状・特性そのものの影響:うつ症状の「無価値感」、ADHDの失敗体験の蓄積、ASDの「自分は場違いだ」という感覚——こういった症状・特性から直接生まれる自己否定もあります。
自己否定を「事実」だと思わないために
「自分がダメだ」という気持ちは、本人にとって非常にリアルに感じられます。しかし、それは感情・思考であり、「客観的な事実」ではありません。認知行動療法では、「思考は事実ではない」という考え方を学びます。「また失敗した→自分はダメだ」という連鎖のうち、後半の「自分はダメだ」は推論・解釈であり、別の解釈が可能です。
例えば、「また失敗した→この仕事のやり方が合っていなかった→違う方法を試せるかもしれない」という解釈も可能です。これを自分一人でやるのは難しいですが、支援者や専門家との対話の中で、少しずつ練習することができます。
自己否定の言葉に気づくための練習
- 自己否定の言葉に気づく:「また自分はダメだと思っている」と気づくことが第一歩。気づかずに流されるより、気づいた方が距離を置きやすい
- 「別の解釈」を一つ考える:「ダメだった」と思ったとき、「他の説明はないか?」と一つだけ考えてみる
- 「過去の自分が言われた言葉」と「今の自分の声」を分ける:内側の否定的な声は、過去に誰かに言われた言葉が反響していることがある
「小さい頃から『なんでできないの』って言われ続けて、それが自分の声になってた。支援員さんに話したとき、『それは昔に言われたことで、今のあなたの声じゃないかもしれない』って言われて、なぜかものすごく楽になった。」
自己否定を一人で解消しようとしなくていい
自己否定の感覚を、自分の力だけで変えようとするのは非常に難しいです。これは「意志が弱い」からではなく、「自分で自分を客観視することに限界がある」という人間の認知の特性からです。支援者・カウンセラー・精神科医などの第三者に話すことで、「自分を外側から見る視点」を借りることができます。一人で頑張ろうとするより、話せる場所を作ることが最も効果的なアプローチです。
- 自己否定は過去の経験・比較・症状から生まれる
- 「自分がダメだ」は感情であり、客観的事実ではない
- 「別の解釈」を一つ考える練習が助けになることがある
- 一人で解消しようとせず、話せる場を持つ