身体障害 / 指定難病(パーキンソン病)

「書いているうちに、字がどんどん小さくなっていく」若年性パーキンソン病と仕事、小字症との付き合い方

おのざる(mimemime)2026年9月読了目安:13〜15分
毛布にくるまりマグカップを持つまめざるのイラストと共に「書いているうちに字が小さくなっていく」というタイトルを示したアイキャッチ画像。左上には「身体障害/パーキンソン病」のオレンジ色のカテゴリータグが添えられている

目次

  1. 「なんで、こんな字を書いたんだろう」書いているうちに小さくなる小字症
  2. オン・オフの波と服薬タイミング、仕事のリズムをどう組み立てるか
  3. 職場にどう伝える、開示のタイミングという難しい選択
  4. 使える制度と、一人で抱えないための相談先
手や指のわずかな変化に、最初に気づくのはいつも本人だけ。
若年性パーキンソン病は、40代や50代よりも早い年代で診断されることがある。
それでも職場では「思ったより元気そうだね」で片づけられてしまう。
この記事では、書いているうちに文字が小さくなっていく「小字症」という症状、オン・オフの波との付き合い方、職場への伝え方、使える制度を、当事者の声とともに書いていく(2026年9月時点の情報です)。

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笑店グループ 就労継続支援B型 在宅ワーク 京都
オフィスの机で、ノートパソコンとマグカップを前にしながら、集中してメモに手書きしている人物のイラスト。窓から差し込む温かい光の中、ペン先に意識を向けている
書き始めは、いつもと変わらない字だった

「なんで、こんな字を書いたんだろう」書いているうちに小さくなる小字症

mimemimeのマスコットキャラクター「まめざる」のアイコン
最初の一行と最後の一行、同じ人が書いたとは思えないくらい大きさが違うことがあるよ。
これは小字症って呼ばれる、パーキンソン病でみられる症状のひとつ。書く動きが繰り返されるうちに、無意識にその大きさを保つことが難しくなっていくって言われてるよ。まめざる

あるメモを見せてもらったことがある。

会議の最初の行は、いつもと変わらない大きさだった。
下にいくにつれて、文字がどんどん縮んでいく。
最後の数行は、ほとんど読めない。

「これ、自分でもびっくりするんです。書いてるときは気づかなくて、あとで見返して、なんでこんな字を書いたんだろうって」

書いている本人には、縮んでいく字が見えていない。

・署名
・伝票
・申請書類…

仕事には、字を書く場面がいくつも隠れている。

小字症は気合いや集中力の問題ではありません

それでも周りには「雑に書いている」「急いでいる」ように映ってしまう。

うまく書けない自分を、何度も見返すことになる。

それが一番しんどいという声を、よく聞くよ。

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症状の出方や進み方には、個人差がある。この記事の内容がそのまま当てはまるとは限らないから、気になることがあれば自己判断せず主治医に相談してほしい。

「37歳のときに診断されました。最初は自分の字が汚くなったなって思ってただけだったんです。でも書類の記入欄に途中から文字が入らなくなるくらい小さくなってて、総務の人に『すみません、ここ読めないんですけど』って真顔で言われたときはさすがに凹みました。今はチェックリストとか定型フォームで済む仕事を増やしてもらって、手書きがどうしても必要なところは同僚にお願いすることもあります。慣れるまで半年くらいかかりましたけど、今は少しずつ割り切れるようになってきました。」

40代・男性(若年性パーキンソン病・設計職)

白紙ではなく罫線や目印のある紙にする。大きめのマスに書く。単語だけで済ませる。こうした小さな工夫だけで、驚くほど書きやすくなることがあるみたい。効果の出方には個人差があるから、リハビリの専門職と一緒に、自分に合うやり方を探している人が多いみたい。

症状の「見えにくさ」は幾重にも層になっている 本人だけが 気づく違和感 家族などごく身近な人にだけ 薄っすら伝わる変化 職場では「癖」や「疲れてる?」に しか見えない状態 言葉にしなければ、誰にも分からない 中心に近いほど、本人にしか分からない領域
症状は、本人の中で始まり、外の世界にはなかなか届かない

オン・オフの波と服薬タイミング、仕事のリズムをどう組み立てるか

薬が効いている時間をオン、効果が切れて症状が強く出る時間をオフと呼ぶ。

この波は、1日の中で何度も訪れる。

特にウェアリング・オフと呼ばれる状態がある人の場合、服薬時間がたった15分ずれるだけで、その後の数時間がまるごと変わってしまうこともあるみたい。

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薬の吸収は、食事にも左右される。肉や乳製品などたんぱく質を一緒にとると、効き始めが遅れることがあるみたい。食事のタイミングまで含めて、主治医と細かくすり合わせている人が多いみたい。

「30代前半で診断されて、正直まだ受け止めきれてない部分もあります。経理の仕事をしてるんですけど、伝票の記入で手が思うように動かなくて、金額の桁を書き間違えたことが2回続いたんです。さすがにまずいと思って上司に相談しました。言い出すのがめちゃくちゃ怖かったんですけど、話してみたら『じゃあ入力の部分は別の人にお願いしようか』ってあっさり調整してもらえて。拍子抜けしたのと同時に、もっと早く言えばよかったなと思いました。」

30代・女性(若年性パーキンソン病・経理職)
相談者のアイコン
相談者
会議中に薬の効きが切れてきて、手が震えたり体がこわばったりすることがあって、それを隠すのに必死になっちゃうんです。
まめざるのアイコン
まめざる
会議の時間帯と、薬の効果が切れやすい時間が重なっているのかもしれませんね。会議の時間を少しずらせないか、相談してみる方法もあるかもしれません。
相談者のアイコン
相談者
そんなことまで言っていいのか、正直迷ってしまって。わがままだと思われそうで。
まめざるのアイコン
まめざる
わがままではなく、業務に関わる具体的な調整のお願いです。症状の全部を話す必要はなくて、「この時間帯は体調が不安定になりやすい」と伝えるだけでも、会議や休憩の取り方を一緒に考えてもらえることがありますよ。

集中作業を服薬直後の時間帯に寄せる。生活のリズムそのものを、薬に合わせて組み直している人もいる。オン・オフの波は、本人にしか実感できない。だからこそ「調子が変わりやすい時間帯」として先に周りに伝えておくと、急な変化があったときも説明がずっと楽になるという声を聞くよ。

職場にどう伝える、開示のタイミングという難しい選択

診断されてすぐ伝えるか、症状が目立ち始めてから伝えるか。
正直、決まった正解はない。早く伝えれば、業務調整を早くから相談できる。でも症状がまだ軽いうちだと「そこまで大変そうに見えないのに」と受け止められにくいこともある。どちらを選んでも間違いではなく、今の状況や職場との関係性で変わってくるものだと思う。

伝える範囲を最小限に絞るという考え方

病名や治療の詳細を、全部話す必要はない。業務に関わる具体的な場面だけに絞って伝えたほうが、お互い楽なことが多いみたい。

mimemimeのマスコットキャラクター「まめざる」のアイコン
まずは信頼できる上司や人事に、業務に関わる範囲だけ話す。そこから先は、チームに必要な情報だけ広げてもらう。そんな進め方をしてる人が多い印象だよ。転職を考えてるなら、就職活動の段階で伝えておいた方が、入社後の調整はぐっと楽になるみたいだよ。まめざる

働き方を選び直すという選択肢

体力を大きく使う立ち仕事や、細かい手作業が中心の業務は、症状の進み方によっては続けにくくなっていくこともある。だからといって、今すぐ辞める必要があるとは限らない。業務の一部を調整してもらう。部署を異動する。在宅勤務を取り入れる。今の職場の中にも、まだ試していない選択肢が残っているかもしれない。

使える制度と、一人で抱えないための相談先

身体障害者手帳という選択肢

パーキンソン病は、運動機能への影響の程度によって身体障害者手帳(肢体不自由)の対象になる場合がある。精神症状が強く出て、社会生活や就労がつらくなっている場合は、精神障害者保健福祉手帳の対象になることも。等級や対象範囲は人によって違うから、詳しくは主治医や自治体の障害福祉窓口に聞いてみてほしい(2026年9月時点の情報です)。

指定難病の医療費助成制度

パーキンソン病は国の指定難病のひとつ。症状の重症度など一定の基準を満たせば、医療費助成の対象になることがある。障害者手帳とは別の制度だから、両方を別々に確認しておく必要がある。申請方法や基準の詳細は、自治体や難病相談支援センターに聞くのが一番確実(2026年9月時点の情報です)。

相談できる窓口

症状の出方や進み方、必要な配慮の内容には個人差がある。この記事の内容がそのまま当てはまるとは限らないから、実際の判断は主治医・支援者・自治体の窓口とよく相談しながら進めてほしい(2026年9月時点の情報です)。
書いているうちに字が小さくなるのは、雑になったからでも、気を抜いているからでもない。
それだけは、はっきり言える。
「うまく書けない」を一人で抱えず、伝えられる範囲から少しずつ周りに渡していく。それは、決して大げさなことじゃない。

よくある質問

Q. 若年性パーキンソン病と診断されても、仕事は続けられますか?
若年性パーキンソン病は進行がゆるやかな傾向があるとされ、早い段階から症状に合わせた工夫を重ねることで働き続けている方は少なくないとされています。ただし業務内容や体力面によって続けやすさは変わるため、主治医や産業医と相談しながら働き方を見直していくことが大切です。
Q. 小字症の症状は治療で改善しますか?
小字症は薬の効き方や書く動作の工夫によって書きやすさが変わる場合があるとされています。白紙ではなく罫線や目印のある紙を使うなど、書き方や道具を変えるだけで書きやすくなることもあるようです。症状の程度や対処法は個人差が大きいため、リハビリ専門職や主治医に相談することをお勧めします。
Q. オン・オフ現象があっても、フルタイムで働けますか?
服薬のタイミングと業務スケジュールをすり合わせることで、フルタイムで働き続けている方もいるとされています。会議や集中作業の時間帯を服薬直後に寄せるなど、主治医と相談しながら生活リズムを組み立てている方が多いようです。
Q. パーキンソン病は障害者手帳の対象になりますか?
パーキンソン病は、運動機能への影響の程度に応じて身体障害者手帳(肢体不自由)の対象となる場合があります。精神症状が強く社会生活に支障が出ている場合は精神障害者保健福祉手帳の対象になる可能性もあるとされています。等級や対象範囲は個別の状態によって異なるため、主治医や自治体の障害福祉窓口にご確認ください(2026年9月時点の情報です)。
Q. 指定難病の医療費助成制度はパーキンソン病でも使えますか?
パーキンソン病は国の指定難病に含まれており、症状の重症度など一定の基準を満たす場合に医療費助成の対象となることがあるとされています。申請方法や基準の詳細は自治体や難病相談支援センターに確認するのが確実です(2026年9月時点の情報です)。
ある一日を、4つの場面で
低い机に向かい、手書きの文字がうまく書けず困っている日本昔話風の人物のイラスト

手が思うように動かない。
字が、どんどん小さくなっていく。

罫線のある紙を使って、少し安心した表情で書いている日本昔話風の人物のイラスト

白紙をやめて、線や目印のある紙にしてみる。

低い机で向き合い、思い切って相手に伝えている日本昔話風の人物のイラスト

「手書きが大変で」と、思い切って伝えてみる。

チェックリストを使って安心して作業し、隣で人が優しく見守っている日本昔話風の人物のイラスト

「チェックリストでいいよ」
まわりが、そう応えてくれた。

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おのざる
mimemime代表。就労支援の現場経験をもとに、障がいのある方の働く不安に寄り添う記事を執筆。