「急性期よりはマシになってきたはずなのに、何もできない」「少し動こうとするとすぐ疲れてしまう」。そんな声を、回復期に差しかかった方からよく聞きます。回復期は、症状が最も重かった時期よりも「出口が見えない」というつらさがあり、「もう大丈夫なはずなのに」という焦りが静かに積み重なっていく時期でもあります。ここでは、回復期特有の難しさと、無理をしすぎない現実的な過ごし方を、就労支援員としての経験も交えて整理していきます(2026年6月時点の情報です)。
回復期の「難しさ」。急性期とは違うつらさ
うつの急性期(最も症状が重い時期)は、「動けない・考えられない」という状態が明確です。一方、回復期は「少しは動けるけど、すぐに疲れる」「いい日と悪い日の波が大きい」「何かしなければと思うが、何もできない自分が嫌」という複雑な状態です。
回復期に焦りが強くなるのは、気持ちの回復と体力の回復にずれがあるからだとも言われています。「やりたい」という気持ちが先に戻ってきても、体力や集中力がまだ追いついていないだけで、それはあなたの意志が弱いからではありません。まめざる
この時期に「もう大丈夫なはずなのに何もできない自分はダメだ」という自己批判が強まることがあります。しかし、回復期のゆっくりとしたペースは、決して「回復が止まっている」わけではありません。
回復期の現実的な過ごし方
回復期に「何かしなければ」と焦る気持ちは自然ですが、この時期に無理に活動量を増やすと、一時的な悪化につながることがあります。「今日できたこと」を積み重ねる視点で過ごすことが、回復を支えます。
- 「今日の体力の7割以内」で活動する:「まだ動ける」と感じる前に休む。翌日も動ける余力を残す
- 1日1つの「できた」を意識する:「散歩に出た」「食事を自炊した」を成果として認める
- 比較しない:昨日の自分・他者・「回復期の自分はこうあるべき」との比較をやめる
- 「今日は悪い日だった」を記録する:波があることを記録することで、「この状態は続かない」と確認できる
相談の一コマ(複数の場面を組み合わせた一例)
相
相談者
昨日は調子がよかったので、少し家事をまとめてやったんです。そうしたら夜には動けなくなって、今日は一日中横になっていました。結局また何もできない自分に戻ってしまって、情けなくて。
ま
まめざる
「調子がいい日にまとめてやってしまう」のは、回復期にとても起こりやすいことです。気持ちが先に元気になっている分、体力が追いついていないだけで、意志の弱さではありません。
相
相談者
じゃあ、調子がいい日でも、あえてセーブした方がいいということですか。
ま
まめざる
はい。「今日の体力の7割」で止めておくと、翌日に響きにくくなります。できた日を減点で見るのではなく、次の日も動けたところまで含めて、一つの結果として見てあげてください。
「回復期に働きたくなったとき」の判断基準
回復期に「少し働きたいかも」という気持ちが出てきた場合、まず主治医に相談することが大前提です。「働きたいという気持ちが出てきた」ことを伝えるだけでも、医師の評価材料になります。就労移行支援への相談・見学だけを行うことは、「就職活動」ではなく「情報収集」として始めることができます。
「回復期の半年間が一番つらかった。急性期は『動けないから当然』と思えたのに、回復期は『もう動けるはずなのに』という焦りがずっとあった。支援員さんに話したら、『回復期はそういうもの』と言ってくれた。名前をつけてもらうだけで、少し楽になった。」
30代・女性(うつ病)
回復期を「ひとりで」乗り越えようとしない
回復期は「医療だけに任せる時期」でも「一人で頑張る時期」でもありません。主治医・家族・支援者など複数の人と連携しながら、「今日の自分の状態」を共有することが、回復を早める助けになります。「誰かに話す」ことそのものが、回復への一歩です。
- 回復期は「直線的な改善」ではなく「波を繰り返しながら上がる」
- 今日の体力の7割以内で活動し、余力を残す
- 「働きたい」気持ちが出てきたらまず主治医に相談
- 回復期は複数の人と連携しながら乗り越える
「まだ動けない」は弱さではありません。その状態と付き合いながら、一緒に進みましょう。
よくある質問
Q. 回復期はどのくらい続きますか?
個人差が大きく一概には言えません。主治医と経過を見ながら確認することをお勧めします。
Q. 回復期に働き始めるタイミングはいつですか?
医師から『就労を検討していい』という見解を得ることが出発点です。
Q. 回復期に『何もできない』自分が嫌になります
『できた1つ』に焦点を当てる視点が助けになります。支援者にも話してみましょう。
Q. 回復期の波(いい日・悪い日)はいつかなくなりますか?
安定期に移行するにつれて波は小さくなっていきます。ただし個人差があります。
Q. 回復期に一人で過ごすのがつらいです
支援機関・デイケア・就労移行支援などに通うことで、つながりを保ちながら過ごせます。
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