メンタルヘルス / 休職中の日常

「復職は無理。配置転換もできない」と言われた面談で、気づいたら自分から退職の条件を並べていた

おのざる(mimemime)2026年10月読了目安:6〜8分
毛布にくるまりマグカップを持った男の子がテーブルについているイラストと共に「退職してほしいと言われ気づけば条件を並べてた」という見出しを示したアイキャッチ画像。左上には「メンタルヘルス/休職中の日常」のカテゴリバッジがある

目次

  1. 面談は15分で終わった
  2. 就業規則を、その日初めてちゃんと読んだ
  3. 「円満に」のつもりで、条件を並べてしまった
  4. 断られて、退職日だけ延びた
「復職は不可です。配置転換もできないので、退職してほしい」

社長にそう言われたとき、私、「わかりました」って言っちゃいそうになったんです。
その3秒後に口から出たのは、「あの、給料2ヶ月分と、有給の全消化は……」でした。

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面談は15分で終わった

29歳、営業職。
去年の9月に入社して、今年の2月に適応障害と言われて休職に入りました。
休職してから、もうすぐ3ヶ月です。

主治医には、少し前にこう言われてました。
「営業職への復職は、まだしないほうがいいと思います」

だから私は、それをそのまま会社に伝えたんです。
診断書と一緒に。
そしたら先週、会社から「面談します」と連絡が来て、行ったら、人事の人はいなくて、社長だけがいた。

社長は、わりと静かな声でした。
「復職は難しいと判断しました。配置転換も、うちの規模だとできない。だから、退職してもらえないかな」

怒鳴られたわけじゃないんです。
むしろ丁寧で、それがなんか、余計にきつかった。
断る隙がない感じというか。

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怒鳴られていないのに、足元がすっと抜ける感じ、あると思います。「静かに言われたからこそ固まった」というのは、よく聞く話です。まめざる
会議室のテーブルをはさんで、うつむく20代後半の女性と、向かいに座るスーツ姿の年配の男性が描かれたイラスト。テーブルの上には閉じたファイルとコップ2つ、窓の外は曇り空
面談室の空気は静かで、声も丁寧だった

面談は15分くらいで終わりました。
帰りの電車で、つり革につかまったまま、頭の中は真っ白。
気づいたら降りる駅を一つ過ぎてました。

就業規則を、その日初めてちゃんと読んだ

家に帰って、入社のときにもらったファイルを引っぱり出しました。
就業規則なんて、読んだことなかった。
休職の章を探して、指でなぞりながら読んだら、こう書いてあった。

「休職期間が満了しても復職できない場合は、自然退職とする」

私の休職期間は3ヶ月。
満了日は、5月14日。
つまり、何もしなくても、その日に私は会社の人じゃなくなる、ってこと。

そこで初めて分かったんです。
社長は「お願い」の形で言ってたけど、期間が終わったら辞めることになっている紙の上で、私は話を聞いていたんだって。

休職開始の2月から満了日の5月14日までを並べた時間軸の図解。2月「適応障害と診断され休職」、3月「主治医に営業職への復職はまだ早いと言われる」、5月上旬「社長面談で退職してほしいと言われる」、5月14日「休職期間の満了日」の4つの点が横に並び、最後の点は目立つオレンジ色で示されている
満了日から逆算すると、面談の時点で残りの日数はもう少なかった

「就業規則の休職の章、入社してから一度も開いたことがなかったです。満了日を指で数えて、『え、あと◯日しかない』って、そこで急に現実になりました。面談のときは、頭が追いつかなくて」

30代・男性(うつ病で休職・システム開発職)
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休職の期間や、満了したあとの扱いは会社によってまったく違います。この記事の話は、あくまで一人の方のケースです(2026年10月時点)。自分の会社のルールは、就業規則や人事で確認してください。

ここでもう一つ、頭にひっかかったことがあって。
主治医の言葉と、会社の「できない」が、同じ方向を向いてなかったんです。

主治医は「営業はまだ」と言った。
会社は「配置転換はできない」と言った。
じゃあ、どの条件なら働けるのか、誰も言ってない。

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診断書の内容と、会社のできることがかみ合わないのは、実はけっこうあるパターンです。似た話を、こっちの記事にも書いています。まめざる
診断書には「時短から」と書いてあるのに人事は「時短はやっていない」と答える、食い違いを左右に並べたカードの図解。続きは別記事で読める案内 診断書と会社の答えがずれた人の話を読む →

「円満に」のつもりで、条件を並べてしまった

で、面談の話に戻ります。
社長に退職を言われて、私が最初に思ったのは、「揉めたくない」でした。

営業って、狭い業界なんです。
変な辞め方をしたら、取引先に回るかもしれない。
円満に、きれいに終わらせなきゃ。

そう思って、気づいたら口が動いてました。
「退職は、分かりました。ただ、給料を2ヶ月分と、残ってる有給は全部使わせてください」

言ったあと、顔が熱くなった。
条件を出したら、「辞める」ことに同意したことになるんじゃないか。
でももう言ってしまった。

面談の場で口にしたことと、本当は聞きたかったことを左右で比べた2列の図解。左の列「その場で言ったこと」には「給料2ヶ月分」「有給は全部使いたい」、右の列「本当は聞きたかったこと」には「配置転換できない理由は?」「満了日までどうなる?」「条件つきなら働ける?」と書かれている
言ったことと、聞きたかったことが、ほとんど別物だった
相談の一コマ
相談者のアイコン
相談者
お金のことを先に言ったのが、今でも引っかかってて。本当は「なんで配置転換ができないんですか」って聞きたかったのに。
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まめざる
聞きたかったことは、あの場で一つも聞けなかったんですね。
相談者のアイコン
相談者
はい。社長の顔を見たら、「円満に」しか頭に出てこなくて。帰ってから、聞きたいことが10個くらい出てきました。
まめざるのアイコン
まめざる
10個。いちばん最初に出てきたのは、どれでしたか?
相談者のアイコン
相談者
……「私のこと、一回でも戻す方向で考えてくれました?」です。

「面談のとき、とにかくその場を早く終わらせたくて。『はい』『分かりました』しか言ってなかったと思います。終わってから、あれ、私何に同意したんだっけ、って。メモも何も持っていかなかったのを、すごく後悔しました」

20代・女性(適応障害で休職・販売職)

断られて、退職日だけ延びた

数日後、会社から返事が来ました。
2ヶ月分は、出せません。
そのかわり、退職日を少し先に延ばします、と。

がっかりしたけど、正直、ちょっとほっとした部分もあって。
変な話ですけど、あの条件を出したのは、本当の私の気持ちじゃなかったから。

今は、お金を1ヶ月分にして再度話すか、会社都合の扱いにしてもらえないか聞くか、そこを考えています。
まだ決めてません。
その前に、もう一回、就業規則と満了日と、診断書のコピーを机に並べるところからやり直そうとしてます。

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「自分の気持ちが今どうなのか、整理がつかない」というときは、2問だけの気持ちスキャン診断で一度ことばにしてみる方法もあります。よかったら覗いてみてください。まめざる
面談のあと、返事をする前に確認できる道すじを示した分岐フローの図解。真ん中に「返事は持ち帰る」があり、そこから「就業規則の休職の章を読む」「主治医に働ける条件を聞く」「相談窓口に聞く(労働局・弁護士)」の3方向に矢印が伸びている
面談の場で決めなくていい。まず持ち帰ってから、3つの確認先に分かれる
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退職や金銭の条件は、個別の事情や会社の規定で結論が大きく変わります。この記事は法的な判断をするものではありません。迷ったときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士などの専門家に相談してください(2026年10月時点)。体験は、複数のご相談を組み合わせて再構成しています。
退職の話をされる面談の前後に手元にあると安心なものを並べたチェックリスト型の図解。「就業規則の休職の章」「休職の満了日」「診断書のコピー」「主治医が書いた、働ける条件」「面談で言われた言葉のメモ」の5項目に、オレンジのチェックマークが付いている
面談の前後に手元にそろえておくと、頭が真っ白でも話の土台が残る
Q. 休職中に会社から「退職してほしい」と言われたら、その場で返事をしないといけませんか?
その場で決めなければならない、とは限らないようです。退職勧奨そのものは、応じる義務のあるものではないと言われています。面談では返事を持ち帰り、就業規則の休職の項目や満了日を確認してから考える人もいます。個別の事情で見方が変わるため、不安なときは労働局の総合労働相談コーナーや弁護士などの専門家に確認してください(2026年10月時点の情報です。最新情報は各機関にご確認ください)。
Q. 休職期間が満了すると、自動的に退職になるのですか?
会社の就業規則に「休職期間が満了しても復職できない場合は自然退職とする」と書かれている例があります。ただ、休職の期間や扱いは会社ごとに違うため、自分の会社の規則で確認することが大切です。分からない部分は、人事や専門家に聞く方法があります(2026年10月時点の情報です)。
Q. 退職の条件として、給与の保障や有給の消化を求めることはできますか?
求めること自体は自由でも、会社が応じるかどうかは別の話で、通らないケースも多いようです。休職中の有給の扱いも会社の規定によって異なります。条件を出す前に、就業規則と満了日、退職日の扱いを確認しておくと、話し合いの前提がそろいます。判断が難しいときは専門家への相談も選択肢です。
Q. 主治医が「元の職種での復職はまだ早い」と言っているときは、どう伝えればいいですか?
診断書や主治医の意見は、会社に復職の可否を伝える材料になります。配置転換が可能かどうかは会社の事情にも左右されるため、「どの条件なら働けそうか」を主治医に具体的に聞き、診断書に書いてもらう方法があります。会社が受け入れるかは別の話ですが、言葉にしておくことで話が進みやすくなる場合があります。
この記事のまとめカード。3つの付箋に「その場で決めなくていい」「聞きたいことは、先に紙に書く」「満了日と就業規則を机に並べる」と書かれている
その場の返事より、持ち帰って並べ直すほうが、あとで自分を責めずにすむ

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おのざる
mimemime代表。就労支援の現場経験をもとに、障がいのある方の働く不安に寄り添う記事を執筆。