メンタルヘルス / 休職中の日常

「振込のお願い」の金額が、翌月は3倍になっていた。給料ゼロの休職中に届いたメールの話

おのざる(mimemime)2026年10月読了目安:6〜8分
毛布にくるまりマグカップを持った男の子がテーブルについているイラストと共に「来月の振込額が先月の3倍だった」という見出しを示したアイキャッチ画像。左上には「メンタルヘルス/休職中の日常」のカテゴリバッジがある

目次

  1. 水曜の夜、「振込のお願い」というメールが来た
  2. 翌月、数字が3倍になっていた
  3. 夜中に「違法」で検索して、何も決められなかった
  4. 人事に聞いたら、内訳があった
「3月分として、48,000円をお振込みください」

先月は16,000円だった。見間違いかと思って、画面を3回見た。

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夜の部屋で、グレーのカーディガンを着た若い女性がベッドの端に座り、手に持ったスマホの画面を見つめているイラスト。横の小さなテーブルにはマグカップと封筒が置かれ、窓の外は暗い
メールの件名に「振込のお願い」と見えた時点で、もう胃のあたりが重かった

水曜の夜、「振込のお願い」というメールが来た

休職して2ヶ月目でした。
営業事務で、28歳。
朝はなんとか起きるけど、昼すぎには電池が切れる、そういう毎日。

人事から来たメールの件名は、「【休職中の社会保険料について】お振込みのお願い」。
本文には、振込先の口座と、「2月分 約16,000円」という数字。
それだけ。

最初に思ったのは、給料が出ていないのに、お金を払うのかってことでした。
知らなかったんです。休むと、保険料は自分で会社に振り込む、ということを。
診断書を出したときも、休職の説明を受けたときも、そこは多分ちらっと言われてたはずなのに、あの頃の私は半分くらいしか頭に入ってなかった。

16,000円。
痛いけど、払えない額じゃない。
その週のうちに、ネットバンキングから振り込みました。
「そういうものなんだ」って、自分に言い聞かせながら。

mimemimeのマスコットキャラクター「まめざる」のアイコン
休職の手続きの日って、説明をいっぱい受けるのに、ほとんど頭に残っていないものなんですよね。あとから「え、聞いてない」と思っても、不思議じゃないです。まめざる

翌月、数字が3倍になっていた

そして3月。
同じ人事の人から、同じ件名のメールが来ました。

「3月分 約48,000円」

見間違いだと思って、スマホの画面を拡大して、もう一回見て。
パソコンで開き直して、また見て。
3回見ても、48,000円でした。

先月の、ちょうど3倍。
その時の通帳の残高は、いくらだったか。
たぶん、あまり余裕のない数字でした。傷病手当金は、書類を出したばかりでまだ入ってないころで。

「金額が上がった理由が、メールのどこにも書いてなかったんです。『お振込みください』と口座番号だけ。こっちは給料ゼロで、手当金もまだ入ってないのに。聞けばいいのは分かってたんですけど、人事に『なんで増えたんですか』って打つのが、すごくケンカを売るみたいで。結局、2日間なにもできませんでした」

20代・女性(うつ状態で休職・営業事務職)

そうなんですよね。
聞けばいい。それは分かってる。
でも休職中の頭は、「聞く」っていうたった一つの動作に、驚くほどエネルギーが要る。

2つの横棒を上下に並べた比較図。上の棒は「2月分」で約16,000円の短い1色の棒、下の棒は「3月分」で約48,000円と3倍の長さで、その中が2つの色に分かれている。下の棒の中には「保険料の分 約16,000円」と「住民税の分 約32,000円」と書かれ、下に「メールには合計の数字しか書いてなかった」と添えられている
あとで分かった中身。メールには、いちばん右の合計しか書いていなかった

夜中に「違法」で検索して、何も決められなかった

その夜、布団の中で検索しました。
「休職中 社会保険料 3倍」
「休職中 保険料 全額 自分で」

出てきたページには、「会社と折半が原則」とか「会社負担分まで請求されたら問題」とか書いてありました。
読んでるうちに、「もしかして、うちの会社、全額取ろうとしてる?」ってなった。
そこから「違法」「労基」「相談」って単語ばかり打って、気づいたら午前2時。

でも、頭のどこかで分かってました。
今の私に、労基署に電話する元気は、ない。
会社と争うのも、書類を集めるのも、無理。
疑う気持ちだけが大きくなって、何ひとつ、決められなかった。

相談の一コマ
相談者のアイコン
相談者
会社が悪いのか、私が知らなかっただけなのか、それも分からなくて。分からないまま、お金だけ減っていく感じがして。
まめざるのアイコン
まめざる
「分からないまま」のところが、いちばんしんどそうですね。その夜、何がいちばん怖かったですか?
相談者のアイコン
相談者
来月もまた増えるんじゃないか、ってことです。もう払えなくなって、「じゃあ辞めますか」って言われる想像まで、していました。
まめざるのアイコン
まめざる
金額の話が、いつのまにか「居場所」の話になっていたんですね。
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この記事は、休職中に社会保険料や住民税の請求で戸惑った経験のある方の声をもとに、複数の場面を組み合わせて書いています。金額や集め方は、会社や加入先、お住まいの地域によって異なります。

人事に聞いたら、内訳があった

結局、3日目の朝にメールを書きました。
何度も書き直して、いちばん短くした。
「3月分のお振込みの内訳を、教えていただけますか。2月分より金額が増えていて、確認したいです」

返信は、その日の午後に来ました。
「すみません、書いていなくて。社会保険料の分が約16,000円で、あとは住民税の分が入っています。住民税は休職前は給料から引かれていたので、今は個人で納める形になります」

……そういうこと、だったのか。
金額が3倍になったのは、保険料が増えたんじゃなくて、別の請求が一緒になっていたから。
力が抜けました。
疑ってごめんなさい、って、人事の人にじゃなくて、2時前まで検索してた自分に思った。

「うちは『全額実費』って言われたんです。折半じゃなかった。でも、うつがひどかった時期で、その場で『はい』って言って、払っちゃいました。あとから年金事務所に電話して、聞いてみたら、会社に確認が必要な話だって。判断力がないときの『はい』って、あとで取り消せないのが、いちばんつらいです」

30代・男性(うつ病で休職・メーカー勤務)

もちろん、全部が全部、私みたいにうまく解決するわけじゃないと思います。
会社によって、お金の集め方も、説明のしかたも違う。
「全額」と言われたまま、よく分からずに払ってしまう人もいる。

私の場合は、数字の内訳を聞けただけで、ずいぶん楽になりました。
払えるかどうかは、そのあと別の話だった。
それでもその夜は、久しぶりに、朝まで眠れました。

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お金のことで頭がいっぱいになったとき、今の気持ちを一度眺めたい方に、2問だけの「気持ちスキャン診断」があります。よかったら覗いてみてください(/shindan)。
休職中の社会保険料や住民税の扱い、請求のしかたは、会社の規定、加入先の保険者、お住まいの自治体によって異なります。内訳や金額に納得できないときや、支払いが難しいときは、人事・総務、加入先の年金事務所や健康保険組合・協会けんぽ、自治体の窓口、労働相談窓口などに確認する方法があります(2026年10月時点の情報です。最新情報は各機関にご確認ください)。
Q. 休職中は、給料が出なくても社会保険料を払う必要がありますか?
休職中で給料が出ていなくても、健康保険や厚生年金の保険料は、会社を通じて自分の分を納める形になるのが一般的なようです。ただ、会社によって集め方(月ごとの振込、手当金からの精算など)が違います。内訳や金額が分からないときは、まず人事・総務に確認してみてください(2026年10月時点の情報です。最新情報は各機関にご確認ください)。
Q. 請求された金額が急に増えたのは、なぜですか?
保険料のほかに、給料から引けなくなった住民税が合算されているケースがあると言われています。また、月ごとに何を請求しているかは会社によって違います。「何の内訳で、いくらずつか」を書面やメールで教えてもらうと、状況が整理しやすくなります(2026年10月時点の情報です。最新情報は各機関にご確認ください)。
Q. 会社から「全額自己負担」と言われました。そういうものですか?
保険料は会社と本人で分け合うのが原則とされていますが、実際にどう請求されているかは個別の事情で変わります。納得できないときは、加入先の年金事務所や健康保険組合・協会けんぽ、お住まいの地域の労働相談窓口に聞いてみる方法があります(2026年10月時点の情報です。最新情報は各機関にご確認ください)。
Q. お金が足りなくて払えないときは、どうしたらいいですか?
黙って滞らせる前に、人事・総務に「いつまでに、いくら必要か」を確認したうえで、支払いの時期や方法を相談できるか聞いてみる方法があります。年金事務所や自治体の窓口で、猶予や分割の相談ができる場合もあります。一人で抱えこまず、早めに窓口を使ってみてください(2026年10月時点の情報です。最新情報は各機関にご確認ください)。
「人事に送った、いちばん短いメール」と題したメモ帳のようなカードのまとめ図。メール文として「3月分のお振込みの内訳を、教えていただけますか。2月分より金額が増えていて、確認したいです」と書かれ、その下に「責めなくていい。内訳を聞くだけでいい」と添えられている
あの夜の自分に渡したかった、短い一通

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おのざる
mimemime代表。就労支援の現場経験をもとに、障がいのある方の働く不安に寄り添う記事を執筆。